第31話、最後の一兵として

それからまた半年間が経過した・・・やはり兵器など使い果たしてからの人的被害が大きく民たちも義勇兵として参加してくれたがそれでも数の暴力の前には時間稼ぎしか出来ずに追い込まれていた。



逆に半年間ほど耐えたほうが凄いとも言えたかもしれないが蝮が育てた軍隊は既に全滅しており義勇兵たちも壊滅して残りは百人にも満たないほど数を減らしていた。



要塞も一ヶ月前に陥落しており街も国も滅びてなお何とかして今日まで戦いこれたがもう限界に近いだろうなと感じていた。



多くの者たちもゾンビになってしまったけどそのたびに倒しては火葬して弔った。それでも数は相変わらずに多く、対処が間に合わなくなったのは言うまでもない。



それでも俺達は抵抗を続けた、生きている限り、どんな事があっても屈したりはしないと戦い続けて遂に最後の戦いになろうとしていた。



しかし、このまま戦いをすれば三代目フェニックスは間違いなく討ち死にしてあの女に利用されてしまうのは言うまでもないなので俺はある事を三代目フェニックス、アクトに提案をするのだった。



「三代目、このまま戦いをすれば間違いなく死んだ後に良いようにされるのは間違いありませんよ・・・だからそうならない様にしませんか」



「そんな方法があるのか、どんな方法なのか教えてくれないか」



そう言われたので説明をするとアクトはそれでは多くの敵を倒すことが出来なくなると言われたので俺はそこは安心して下さいと言ってから俺が三代目の分まで敵を多く倒しますからと伝えた。



するとそれでも流石にと言ってきたので俺はそうでもしないと確実にあの女に逃した赤ん坊を殺すように言われますよと伝えた。



あの女の性格から考えてそうなるのは難しい想像ではないとして伝えるとアクトはならそれならば妻も連れて行っても構わないかと言うともちろんそのつもりでしたからと言った。



するとアクトの妻がなら貴方はどうなるのですかと聞かれたので素直に答えるのだった。



「まあ、良いように滅茶苦茶に強いゾンビとか生物兵器として使われるでしょうね。それでも俺は構わないのですよ、未来を託した者たちがどこまで成長したのか気になりますからたとえ化け物になっても見届けたいと考えておりますので気にせずにしてください」



そう伝えた、実際にこの目でみたいから嘘をついてはいない。出来る事ならば敵対しない様にしたいけどそこは無理だろうから仕方がないけどな。



それからはアクトとその妻の二人は建物の奥深くに入りそれを確認してから俺は建物に火をつけた。



後は言われた通りにしてくれるだろうから俺と残った者たちは迫りくる敵を出来る限り多く討ち取るだけだとして戦いを始めた。



時間が経つに連れて仲間たちが次から次へと倒されて周りで戦いをしているのは俺以外誰もいなくなってしまった。



みんな最期まで戦い抜いたのだなと感じていると敵総大将、アンナが現れて俺に対して話しかけてきたのだった。



「まさか、私達を騙した詐欺師がここまで残るとは思いもしませんでしたよ。詐欺だけしか取り柄がないと思っていましたのに」



「残念だったな、最近の詐欺師は己を守るためにも実力をつけているものだよ。最も俺は更に兵器も使ってお前たちを足止めをしたけどな」



「そうですわね、けれどもその兵器も使い切り人々も使い切りこの場で戦えるのは貴方以外は誰もいません・・・アクトは何処に・・・まさか!!」




「残念そうだけどその通りだ、いくらお前とフロアーナの力が合わさってもバラバラになった遺体を焼かれた上で魂までもなくなればどうする事もできないだろう?俺はそれをする為に一人でも戦うつもりさ・・・最もその役目も終わりそうだけどな」



そういった直後に建物から巨大な爆発が起きて建物を吹き飛ばす程でここまでやられると流石のこいつ等でもどうする事もできないだろうと見ているとアンナが貴様ーーー!!!とかつてない程に激怒してこちらを見てきた。



その激怒しているのがどうする事もできない証拠だなと俺は笑いながらさてと整えから言葉を出した。



「さてと、人類最後の一人として英雄フェニックスの部下の最後の一人としてそれに相応しい最期を見せてやろう。覚悟するが良い、小娘たち!!」



俺はそう言ってから己の人生で一番成功した刀を抜いて勝負に出た。今の体力ではアンナと言う女を倒すことは不可能ならばその側近たちに倒せば後々にアンナに立ち向かう者たちが楽になると考えた。



そう標的はフロアーナと宇喜多であった、俺はまずは知力だけは高い宇喜多を攻撃をするとやはり知力だけなのかすぐに斬る事ができて片腕を切断すると宇喜多は泣きながら暴れ始めた。



「痛い痛い痛い痛い痛い、私の腕が私の片腕がー!!痛い痛い痛い、助けてください、アンナ様ーー!この爺がよくもよくも私の右腕を切り落としたな!!殺してやるぞ!!!」



あまりにも惨めすぎないかと感じていたら近くのゾンビ達に俺を食い殺すように命令をしたのだけどゾンビ達は新鮮な血の匂いに誘われて俺ではなくて宇喜多の方に向かい始めたのである。



おそらく本能的に襲える事ができるやつを襲うつもりなのだなと思っていると宇喜多は必死に片腕を無くしながらも逃げようとしていた。



「来るな、来るな道具風情が!!私はフロアーナの次にアンナ様に仕える幹部だぞ・・・だから来るな下等生物が!」



そう言ってもゾンビにそんな知性を求めるなよと思っていると一斉にゾンビ達は宇喜多を襲い始めた。



宇喜多から悲鳴が上がったがすぐに静かになりどうなったのかは予想をついた。



哀れな最後とは思えない・・・相応しい最期だなと感じながら俺は残りのもう一人の幹部、フロアーナを討伐しようと残り少ない体力に鞭を入れるように動き出すのだった。



おそらく次はアンナも参戦してくるだろうからここが俺の最後の試練だ。

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