第38話

「……?


………何?」


「……………………何でもないっ」




疑問に思い、ジェラルドに聞いてみたが答えは得られなかった


なので、そこまで興味もなかったティオナットは、

特に掘り下げて聞く事もなかった


そして何故かジェラルドは更に顔を真っ赤にしてそのまま足早に去っていった


ジェラルドの取り巻き達2人も一旦こちらを見て、迷う素振りを見せたが

そのままジェラルドを追いかけていった


一体何だったのか首を傾げていると、フレッドに声をかけられた




「…あいつらなんだったんだろーなぁー?


あ、ティオナット、寮戻ろー」


「ん?


…あ、あぁ」



ティオナットはフレッドへ生返事を返して寮へと歩いていく


寮までの道で、フレッドが突然トイレへ行きたいと言うので、トイレ前まで渋々着いて行ったティオナット


寮までの道は頭に入っているし、フレッドを待ってやる義理もないので

フレッドが用を足している間に、1人で寮へと帰る


寮までの道をぼんやり歩いていると、後ろから誰かに呼び止められた


フレッドの声ではなかったので振り返ってみると、そこにはジェラルドの取り巻きの内の1人が居た


その彼は、見た目何処にでも居そうな平凡くんで、特徴がない事が彼の特徴と言って良い程の地味男くんであった




「………何?」


「あ、あの、ティオナットくん、ジェラルドの事で話しが…」




ティオナットが尋ねると地味男くんは目線をうろうろ、手をもじもじとする


ティオナットが1つため息を吐く


それだけでびくりと肩を揺らす地味男くん




「………あー、わかった


とりあえず裏庭に場所を移そう


あそこなら確かベンチとか座る場所あったでしょ」


「ぁっ、は、はいっ!」




面倒臭くなって近場で座れる場所を指定して歩き出すと、

地味男くんは吃りつつも元気良く返事をして着いて来る


裏庭に着いて、ティオナットがベンチに座ると、地味男くんは所在なさ気に立っている


ティオナットは疑問に思いつつ聞く




「座らないの?」


「へっ?


あ、はいっ、座ります!」



また元気良く返事すると、ティオナットから充分に距離をとり、ベンチの端っこに座った地味男くん


それに密かにため息を吐いて、口を開く

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