第39話

「で?


君の話しって何?」




単刀直入に、回り道など一切せずに尋ねるティオナット


地味男くんは慌ててこちらを向いて座り直し、吃りながらも話し始めた




「あ、あの、今日はティオナットくんにジェラルドの事を誤解しないで貰いたくて…


その、だから、僕の話し、聞いて下さい!


…あ!


その前に自己紹介しなきゃだった…!


えっと、僕はザン・ワイアットです、す、好きに呼んで下さい!


後いつも一緒に居るもう1人の方はハーパル・ナイトリーって言います!


…で、えっと、ジェラルドの事なんだけど……」




この後はなかなか要領を得ず、吃っていて面倒臭かったので回想




- - - - - - - - - -




今から10年前、ティオナットやジェラルド達が5歳だった頃の事


ジェラルドには、性格と家柄故にザンとハーパル以外には1人しか友達がいなかった


その友達とは、ザンやハーパルと同様に平民で、ティオナットと同じく忌み子だった


この当時は今よりも忌み子への差別や偏見などが酷く、

ジェラルドの父母も忌み子への激しい差別意識がある人達だった


それでも、ジェラルドはその忌み子と友達で、幼いながらにも密かに想いを寄せていた


そして、10年前のとある日、悲劇が起こった


ジェラルドの友達だったその忌み子が、死んだのだ


厳密に言えば、 “死んだ” のではなく、 “殺された” と言った方が適当なのかもしれないが…


それで、何故 殺された のかというと、

これは未だ未解決事件なのでザンとハーパルの推理擬きなのだが

ジェラルドの父母が息子の友達の中に忌み子が居るなど、家の品格を下げると考えたからではないか と、考えた


そのジェラルドの友達だった忌み子の最期とは、とても奇妙なものだったからだ


事の起こりは、その忌み子が拐われた事だった


その忌み子が 殺された 日、4人は一緒に遊んでいた




「何して遊ぶ?」


「鬼ごっこ?


隠れ鬼?


高鬼?」


「隠れ鬼しよ!」


「じゃぁ、言い出しっぺのハーパルが鬼ね!」


「じゃぁ、50秒数えてー


隠れろー!」




50秒きっかり数えたハーパルは皆を探し始める


その隠れ鬼でジェラルドとザンは見付けたが、忌み子だけは見付けきれなかった

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