第11話
遊上くんの耳に入る前にちゃんと誤解を解かなきゃ…!
慌てて噂好きのクラスメイトを追いかけようとすると、パシリと隆幸に腕を取られた
僕は驚いて隆幸を振り返る
「は、放して!
早く誤解とかないと…!」
「……言わせておけば?
そしたら遊上にも噂が届いて、お前のこと本当に好きかどうかわかるんじゃねーの?」
「は!?
そ、そんなことしなくても、遊上くんに直接聞けばわかる、じゃん……」
「…お前、遊上に直接確認できんの?」
痛いところを、隆幸に突かれた
遊上くんに直接、僕のことをどう思ってるか聞くなんて……
そんな簡単にできるのなら、昨日の僕はあそこまで不安になって取り乱したりしていない
それが怖くてできないから、僕は昨日隆幸のところに逃げたのだ
僕の沈黙に隆幸は1つため息を吐き、僕の頭をぐしゃりと撫でた
「……できないんだろ?
どうせ噂の相手は俺だし、なんかあっても俺なら大丈夫だからさ
心配すんなよ
お前になんかあったら俺が守ってやるよ」
ニヒヒと笑う隆幸がまぶしくて、つい僕の瞳は潤む
「…隆幸のばかぁ…
そんなに僕のこと甘やかして、どうするんだよ」
「あはは、どうしようか?
…そうだな、遊上からお前を奪い返すのさ!」
あははと笑い飛ばす隆幸に、僕もつられて笑ってしまった
その後、クラスに着くと例の噂好きのクラスメイトが僕と隆幸が付き合ってると言いまくっていたようで、クラスメイト達から祝福の言葉を贈られる
それに対して僕は違うと否定するものの、隆幸が悪ノリして「俺たち付き合ってま~す」なんていうものだから、
僕が本当のこと言ってるのに、まるで僕が恥ずかしくて否定しているような、そんな生暖かい目をクラスメイト達から向けられることになった
なんか納得がいかない!
僕が否定しつつもぷっくり膨れていたら、担任の先生がやってきて、HRが始まってしまった
その後も、休み時間のたびに隆幸と一緒に居るところをクラスメイト達などから冷やかされる
ただ、友達と一緒にいるだけなのに!
クラスメイト達などからおめでとうと言われるたびに違うと僕が否定しているのに、その横でありがとうと隆幸がいい笑顔で言うものだから更に間違った噂が学校中に広まってしまう
………あぁ、遊上くんはこの噂を聞いて、どう思ったのだろうか…?
僕のことなんて、軽蔑してしまっただろうか?
それとも、僕のことなんて気にしてなんていなくて……
つい、悪い方悪い方へと思考が傾いていってしまうが、そのたびに隆幸が笑わせてくれたり、違う話題を振ってくれたりしてくれたおかげで、あまりドツボにはまらなくて済んだ
昼休み、隆幸が誰かに呼ばれて少しだけ1人になった時以外、今日はずっと横に隆幸がいてくれた
そのことにどこか少しホッとしつつも、放課後が怖かった
寮の部屋は遊上くんと同室なのだ
遊上くんのところにもきっと僕と隆幸が付き合ってるという噂は届いているはずだから、遊上くんの反応が、怖い
そして、ついに放課後になってしまった
震える体を抑えつつ、寮の自室の鍵を開ける
大丈夫、きっとまだ遊上くんは帰って来てないはずだから、部屋でゆっくり落ち着いてから、遊上くんとどう話すかシュミレーションしよう…
そう思っていたのに
寮の部屋を開けると、そこには仁王立ちの遊上くんがいた
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