第2話

授業は無難にまじめに受けてやり過ごす


でもご飯食べた後の授業って眠たいよね


ちょっとうつらうつらしたら先生に当てられちゃって、答えらんなかったの恥ずかしかったなぁ…


放課後、僕は特に部活とか入ってないからまっすぐ寮の自室へ帰る


ちなみに寮は2人部屋で、同室者はなんと、彼氏の遊上くんなのだ


えへへ、部屋に帰るだけなのにちょっとテンション上がっちゃうよね


遊上くん、もう帰ってきてるかなー?


楽しみに開けたドアの向こうには遊上くんの姿はなかった


…残念


まだ帰ってきてないのかなぁ?


確か、遊上くんも部活はしてなかったと思うんだけど、最近いつもに増して帰りが遅いんだよね


なんでかなぁ?


……考えたくはないけど、遊上くん遊んでる人だからほかの人と…


いやいやいや!


そ、それはないよね


だって、僕と付き合ってるんだもん


恋人は僕だけだって、遊上くん言ってくれたもん…


……僕とはまだ、そういうことしてないけど…


……………あああ、だめだ!


1人だと変に落ち込んで変な想像しちゃうや!


そうだ!


この時間ならまだ隆幸、バスケ部で練習とかしてるよね、行こう!


部活見学させてもらって、終わったら隆幸とお喋りしよう、そうしよう!


そしたら変なこと考えなくていいもんね!


さっと部屋の鍵とお財布だけ持って、僕はバスケ部が使っている体育館へ向かった


ちょうど体育館に着いたときにバスケ部は紅白試合を始めたところだった


紅白試合と言っても、ゼッケンをつけてるかつけてないかでチーム判断するだけだけど


ちなみに隆幸はゼッケンをつけて試合に出ている


心の中で頑張れと応援しつつ観戦する


僕のその思いが届いたのかはわからないが、今回の紅白試合は、どうやら隆幸のチームが勝ったようだ


今日のところはこの試合だけで終わりのようで、片付けの最中に隆幸が僕の方へ歩み寄ってきた




「おーっす、勝ったぜー」


「お疲れ様ー


見てたよ、良かったね」


「おう!


…それで、どうした?


特に約束とかしてねーよな?」


「…うん、なんとなく暇だったから見に来ただけー」




隆幸の問いにへらっと笑って返す


1人で部屋にいるのが寂しくて来たとか、恥ずかしくて言えないよね




「暇だから見に来たのかよ!


片づけ終わって着替えたらそのまま帰るけど、一緒に帰る?」


「うん、一緒帰ろー


んで、食堂も一緒にいこーよ」




隆幸は一緒に帰るのは想定内だったようだが、ご飯を誘われるのは想定外だったらしい


小首をかしげつつ、聞かれたくないことを聞かれた




「例の彼氏とは一緒に食わねーの?」


「えーっと…、一緒に食べるとか約束してないし、そもそも付き合ってるのも言うなって言われてるから……」


「あー……、じゃぁ一緒に食うか


片づけとかしてくるからここで待ってろよ」




去り際に僕の頭をぐしゃぐしゃにして体育館へ戻っていった隆幸


それにプチプチ文句を言いながら髪を直していると、不意に視線を感じた


不思議に思い振り返ると、そこには遊上くんがいた


遊上くんが僕を見ていることにぱぁっと嬉しくなったが、遊上くんの横に可愛らしい男の子がいて、気持ちがすぐに暗くなってしまった


遊上くんの横の可愛い男の子は、まるで僕に見せつけるかのように遊上くんの腕に自分の腕を絡ませていたからだ


………僕の彼氏なのに…


きっと彼は、遊上くんのセフレの内の1人なのだろう…


僕は胸が苦しくなって、遊上くんたちから顔を背けた


体育館ではバスケ部員たちがモップ掛けをしたりボールを片づけたりしていた


…早く隆幸来ないかな

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る