第10話

潤のおすすめを聞きつつ、無難な居酒屋料理を頼む


とりあえずで注文を済ませると、すぐに飲み物だけが来るので、料理が来る前に乾杯をする




「久々の再開を祝してー」


「かんぱーい!」




俺のチャチャに苦笑しつつ、潤も乗ってくれた


こういうところが一緒に居て楽しいところなのだ


昔と変わらないその苦笑に俺の口元も弧を描く


そしてそのままビールの入ったジョッキをグイっと傾ける


冷たいビールののど越しを楽しみ、声を上げる




「…んあ~!


やっぱ、ビールうめぇー」


「ブッ…


大輔、おじさんみたい」




俺のおっさん臭い言動に潤が吹き出し、くすくすと笑う


思っていることを言っただけなのに、そこまで笑うことだろうか?




「俺たちだって後5年もすれば立派なおっさんだろー?」


「後5年かー…


あっという間に過ぎそうで怖いなぁ」


「確かに!


気付いたら三十路とかなってそうでこえぇよな


あ、でも潤はイケメンだからなー


ちゃっかり結婚して良いパパしてそーだなぁ…」




笑いつつもそんなことをつい言ってしまい、想像したらなぜか少し胸が痛む




「……そういう大輔はどうなんだよ?


彼女とか、居るんじゃないの?」




やんわりと潤に話題を変えられたような気もしたが、俺はそれがありがたくその話に乗る




「うんにゃー、彼女居ねーよー


確か、半年くらい前に別れたんだっけか…


それからはずっとフリーだよ」


「…そっか……


じゃぁ、お互いに今はフリーなんだね」


「え、潤今彼女居ないの?


クッソモテそうなのに?」


「モテてるかどうかは知らないけど、彼女居ませんよー」


「お前みたいなイケメンがモテてないわけねーだろ!」




そんな会話をしていたところで店員さんが注文した料理を持ってきてくれた


久しぶりに会った潤に緊張していたせいか、早めに飲み干してしまったジョッキを店員さんに渡しつつビールのおかわりもついでに注文する




「大輔って、酒強いのか?」




先程の話題に戻るよりも先に、潤から心配そうな目で見られた


少し、ピッチを上げすぎていたようだし、少し落とした方がよさそうか…




「お酒はまぁ、それなりに強いよ


潤は?」


「俺?


俺は普通だけど…


大輔、あまり飲みすぎるなよ?」


「大丈夫だって、さっきはちょっと早めに開けすぎたけど、自分のペースは把握してるから」


「…なら良いけど


とりあえず食べよっか


サラダ分けるから取り皿、頂戴」


「ほーい、よろしく~」




取り皿を潤の方へやり、取り分けてくれる潤を見る


ざっくりシーザーサラダを混ぜた潤は自分の分と俺のを均等に盛り付ける




「あっ、潤お前俺のにキュウリ入れやがったな!」


「…お前まだキュウリ苦手だったのか……


好き嫌いしてないでちゃんと食え」




潤はそう言って俺の取り皿に多めのキュウリを盛り付け、それを俺に食えと寄こす




「くっそー、意地悪しやがってー…


そんなに言うなら、潤はニンジンとピーマン食べれるようになったのかよ?」


「もう何年前の話だよ?


ニンジンもピーマンも食えるよ」

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