第7話
いろいろと益体のないことを考えているうちに、いつの間にか寝てしまっていたようだ
朝日のまぶしさに目を覚ます
何か、懐かしい夢を見たような気がするが、思い出せない
「…あー、まぶし……」
手で影を作り、直射日光から瞳を守る
夢が思い出せないのはいつものことなので特に思い残すことなく起き上がる
そのまま大きな伸びをして、軽く体を動かす
そしてそのまま顔を洗って歯を磨く
なんか、起きてずっとそのままって気持ち悪いよね
仕事の時は時間がないとかであまりしっかり歯を磨けていない時がたまにあるので、ゆっくりできる休日の朝はいつもより丁寧に歯を磨いていく
だって、出来るなら入れ歯とかしたくないからね
美味しいものを美味しく食べるには自分の歯が1番だと亡くなったおばあちゃんが言っていた
後、虫歯の治療って痛いし、あのドリルが嫌だから、いつもの歯磨きは大事なのだ
小さい頃、あれで泣いた
大人になってからもあれで泣くのはイヤだから、毎日の歯磨きは欠かせない
後、仕事柄不潔なのもよくないしね
歯磨きを終えると、テレビを付ける
特に見たいテレビなどないのだが、やはり一人暮らしで自分の生活音以外何もないのが耐えられないのだろうか?
社会人になってから一人暮らしを始めたので、一人暮らし歴はもう5年目だ
慣れたものだと思っていたが、やはりどこか寂しいと感じているのかもしれない
特に面白いテレビを見つけられなかったので、適当なチャンネルにしてスマホを手に取る
見てみると、今朝早くに潤からメッセージが届いていた
新着メッセージをタップして開くと、今日の夜の予約が取れたことと、場所と時間が送られてきていた
お店はまだ俺の行ったことのない店のようで、マップで場所と家からの所要時間を調べる
電車に乗って20分くらいで着くようだ
行きの電車の時間と、終電の時間さえしっかり把握しておけば大丈夫だろう
とりあえず場所も確認したし、潤へ返信のメッセージを打つ
『了解
予約ありがとう、助かった
今日の夜、楽しみにしてる』
少し簡素すぎたかもしれないが、こういうプライベートのメッセージはどこかむずかゆく、あまり慣れない
あぁ、そのせいで前の彼女と別れたんだったっけ…?
確か、返信が遅いだとか不愛想すぎるとかそういう些細なことから口喧嘩になって結局最終的にはフラれたんだったか…
「…あー、だめだ」
今日はせっかく久しぶりに会えた潤と飲めるのに、楽しい日になるはずなのに嫌なこと思い出してたら、このまま嫌な気持ちになってしまう
やめよ、やめよ
なんか楽しいことないかなー?
とりあえずすることのない俺は、暇つぶし用にインストールしていたゲームで遊ぶ
が、そのゲームに飽きたころ、お腹がくぅと小さく鳴った
そういえば、朝ご飯を食べていなかった
そのことに気付き、掛け時計を見やる
現在午前11時14分
朝ごはんにしては遅すぎるし、お昼ごはんにしては少し早い…
何とも微妙な時間に腹が減ってしまったものだ
だがまぁいっかと開き直る
今から朝昼兼食で食べて、夜に潤と一緒に腹いっぱい食べればいいだろう
そう納得して、キッチンへ入る
お昼ご飯は何にしようか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます