第2話
簡単な朝食も食べ終わり、用を足した後にテレビを消して戸締り確認をすると、家を出る
家の鍵をかけたことを再確認し、最寄り駅まで歩いていく
俺は満員電車が嫌いなため、いつも早目に家を出ている
俺としては、あんなところにすし詰めされるくらいなら、早起きしてまだ余裕のある電車に乗った方がいい
満員電車で痴漢に間違われたりしたら嫌だし
いつもの電車に乗り、いつも通りの時間に出社する
そしていつも通り営業部内で1番に出社した俺はかばんを自分のデスクに置くと、営業部のデスク等の拭き掃除をする
ちなみにこの拭き掃除は自主的にしているものだが、なかなか楽しい
他の同僚たちのデスクには個性が出ているのでその観察も兼ねているようなものだ
デスク等の拭き掃除が終わると、今度は備品のチェック
足りないものがあれば総務に頼んで注文してもらう
それが終わるころに、同僚たちが出社してくるので、俺は自分のデスクにつき、今日の仕事の資料を取り出し、何時頃に何をするのか本日のタイムテーブルを頭の中で組む
今日は14時から郷上コーポレーションへのプレゼンが控えている
ここでの契約はうちの会社にとって大きいものになるから、会社としても俺としても力の入れようはひとしおだ
入社5年目で初めての大きな仕事だ
これを落とすわけにいかない俺は、今日のプレゼンまでに資料と段取りの確認と、プレゼンするときのシュミレーションをばっちりしておかねばならない
午前中のうちに資料と段取りの確認を終えた俺は、昼食後、このプレゼンに同席してもらう飯島課長と会議室にて打ち合わせと簡単な練習をして、郷上コーポレーションへ向かう
事前にアポイントメントは取ってあるので、受付で社名を名乗るだけで会議室へと通された
緊張しつつも姿勢よく待っていると、会議室のドアが開いた
「お待たせいたしました
郷上コーポレーション、営業部部長、富樫 誠一郎と申します
本日はよろしくお願い致します」
「同じく、郷上コーポレーション営業部、相原 潤です
本日はよろしくお願い致します」
その聞き覚えのある声と名前に、ドクリと心臓が跳ねた
今朝の夢を思い出す
記憶をたどり、顔を見てみると、やはり
同姓同名の別人、ではなく、やはり俺の幼なじみの相原 潤がそこに居た
あの頃疎遠になってから、もう会うことはないと思っていたのに…
「遊佐総合事業、営業部課長の飯島 照則と申します
こちらこそ、本日はよろしくお願い致します」
飯島課長のあいさつにハッとなり、俺もあわてて胸ポケットから名刺入れから名刺を取り出し、あいさつする
「…同じく、遊佐総合事業営業部、池中 大輔と申します
本日はよろしくお願い致します」
「………やっぱり、大輔…」
ポロリと、つい零れ落ちたように潤が口元を覆う
それを耳聡く聞きつけた飯島課長が片眉を上げる
「…確か、相原さんとは初めてだったと思いますが…
うちの池中とお知り合いで…?」
「あ、すみません
彼とは小学生からの幼なじみで…
まさか、こんなところで再開するなんて思ってもみなかったですよ」
潤の言葉を確認するかのように飯島課長に視線を送られ、肯定するようにうなずく
「ははは、それじゃぁ彼ら幼なじみの再開を祝していい契約ができるといいですねぇ!
では、ここからは仕事の話をしましょう」
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