第31話
「このくらい、出来て当たり前だろ?」
さらりと事もなげに、ティオナットの瞳は本の活字を追ったまま、そんな事を言い放つ
ティオナットには一応悪気はなく、本心からの言葉だったのだが、
態度や言い方により、無駄に他の生徒を煽り、反感を買っただけだった
その証拠に、ジェラルドをはじめとする貴族様や特待生数名がティオナットを思いっきり睨んでいた
きっと、自分たちはまだできていないのに、何であんな忌み子なんかがというくだらない嫉妬心などからだろう
が、そんな事は知らぬ存ぜぬのティオナット
それが更に怒りを煽り立てている事も充分、理解している
「出来るわけないじゃん!
ていうか、なんで透明の魔力ボールが出来るの!?」
それでもやはり、フレッドは例外なのだろう
さっきのティオナットの言葉に苛つくどころか、分からない と目を爛々と輝かせて食い付いている
ちょっと前のめりな上に大声で話すフレッドが煩くて身体を押し返しながら応える
「別にさっきまで透明だったのは、無属性の魔力ボールだったから
少し黒くなったのは闇属性の魔力を、無属性の魔力ボールの中に混ぜたから
さっき言った様に、無属性は透明、闇は黒
後は…、光は白、火は赤、水は青、風は緑、土は茶色、雷は黄色、純粋な色が出る
もし、それらの色が混ざっている場合は、属性魔力が混ざっている時
属性魔力が混ざると魔法の威力が弱くなったりするから、なるべく純粋な色が好ましい
あ、後、魔力ボールの形が安定していないのは魔力制御が上手く出来ていないから
そして魔法で1番大切なのは、想像力
上手く形がとれないのなら最初は手を出して掌の上に魔力を集めながら、 “ボール” とでも唱えれば良い
後は属性の使い分けも出来ればこんな風に造形してみたら更にコントロールも良くなるだろ」
最後は実演する為に、出していた魔力ボールをそれぞれうさぎや猫、犬などに変形させて動かしてみる
その一部始終を見聞きしていた、ティオナットを睨んでいなかった一部の生徒達は素直に小さく喚声をあげた
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