第30話
次は演習場で魔力コントロールの授業だった
教科担当は担任のルーカスだった
授業開始の合図と同時に現れたルーカスにティオナットは一気に不安になった
この魔力コントロールはとても大事だ
もしも魔力をコントロールし損ねたら、暴発したり、最悪魔力暴走を起こして廃人、もしくは死亡するケースが多々あるからだ
その為に、この授業はとても大事なものなのだが、見た目はやる気の欠片も見当たらないこの教師なのだ
ティオナットが不安になったのもしょうがない事と言えるだろう
因みに、この魔力コントロールの授業では最初はただひたすらに魔力ボールを綺麗な形を10分以上持たせる事だ
何とも地味な作業ではあるが、これがなかなか難しい
この優秀なSクラスでも、まだ数人が形は置いといて、5分持てれば良い程度だ
また、委員長らしき人の号令と共に挨拶をして、授業が始まる
それからルーカスはとても面倒臭そうに喋りだした
「…あーっと…、ま、いつも通り魔力ボール作っとけー
10分持ちきったら俺んとこまで来いよー
じゃ、おやすみー」
そう言って、ルーカスは本当に寝始めた
それを見てティオナットは深いため息を1つ吐く
そして演習場の隅を陣取り、ボックスから本を取り出して読む
それに付いて来ていたフレッドは首を傾げた
「……なぁ、ティオナットは魔力ボールを作らないのか…?」
「…ん?
もう作ってるじゃないか」
本から目を離して己が作った魔力ボール達を見る
が、無属性の魔力ボールが無色透明だったからか、フレッドには見えていなかった様だ
「え?
何処、どこ?」
その証拠にフレッドはティオナットの周りの在らぬ方向をキョロキョロ見ている
「んじゃぁ、こうすれば分かるか?」
そう言ってティオナットは魔力ボールに闇の魔力を少量のみ入れる
すると、ティオナットの作った魔力ボール達に薄い黒色が入る
それを見て、フレッドは驚く
「うわぁ!
こんなに作ってたの!?
しかも形綺麗!!」
ティオナットの周りに浮かんでいる正円の魔力ボールが15個
フレッドの驚きの声にクラスの皆がこちらを見て、さらに驚く
が、ティオナットは知らんフリでまた本に視線を戻す
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