第14話
ひらひらとニコラスの方へ差し出した手を揺らめかせながら編入試験の問題用紙を求めるティオナット
ニコラスは微苦笑したままティオナットに問題用紙を手渡す
「制限時間は1時間
ペンは持ってる?」
「ん」
「じゃぁ、後ろの机で解いてね
よーい、始め!」
そうして始まったティオナットの編入試験
ティオナットは椅子に座ると、ボックスの中からペンを取り出し問題用紙の上を軽やかに走らせる
ティオナットが淀みない手つきで問題用紙の空欄を全て埋め終えたのは、それから30分後だった
書き終えた後で一旦さらっと見直し、ニコラスに問題用紙を差し出す
「終わったよ」
「おぉ、やはりティオナットは早いですね、30分ですか…
……このテスト、如何でした…?」
ティオナットから問題用紙を受け取りながら、慣れない敬語を意識的に使ってニコラスは尋ねた
そんなニコラスの問いにティオナットは思った通り、あっけらかんと言い放つ
「ん?
簡単だったよ?」
「………まぁ、ティオナットにとってはそうですよね…」
ティオナットの返答に小さく呟いて採点をする
その間暇だったティオナットはのんびり部屋の中をクルリと見回す
特に面白そうな物はなかったが、小綺麗に整頓され、高級感漂う部屋だった
部屋を観察している間に採点が終わったみたいで、ニコラスに話しかけられた
「流石ティオナットですね
満点ですよ
ここの教師でもなかなか満点なんて取れないんですけどねぇ…」
思案気味につぶやくニコラスのその言葉にティオナットは目を丸くする
こんな簡単なものが解けないのか と
だが思い出して欲しい
ティオナットは帝達からありとあらゆる知識を学び、吸収したのだから
そんな彼の知識量は半端なものではないのだ
ティオナットの表情から言わんとする事が分かったのだろう
ニコラスはティオナットが口を開く前に言葉を紡ぐ
「ここの教師陣の点数は100点満点中、平均で90代前半
最低が79で、最高が100
どちらとも1回のみずつですかね」
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