世界最強の少年

第8話

あれから15年後




薄い水色の、少年の身体に対しては大きいローブのフードを目深に着て、彼はその場に降り立つ


そしてざわめく周りの観衆、基、山賊達




「あいつは…っ


蒼風の氷帝、クロス・ナイト!!?」




山賊の中の誰かがそう小さな悲鳴をあげ、それを聞いた山賊達は戸惑い、恐怖し

ある者は逃げ惑い、ある者は彼に魔法や剣、拳で攻撃をする


それを彼は何ともなしに簡単に避けて、山賊を拳で的確に、且つ物理的に黙らせて行く


そして逃げ惑っていた者達は見えない壁に行く手を阻まれ錯乱しかけた処で彼に意識を刈り取られた


全ての山賊の意識を刈り取り、彼は山賊達を1本のロープで縛って、ボックスの中に山賊を放り入れた


ボックスとは無属性魔法の中級魔法で、学生なら大体出来る魔法だ


ボックスに入れられる内容量は術者の魔力量によって変わり、魔力量の多い者程沢山の物が仕舞える


因みにボックスの中の物には時間経過などが関係ないので食べ物を仕舞っておくには最適だ


そして蒼風の氷帝と呼ばれた彼は1つ指をパチンと鳴らした


それで消える見えない壁、基、結界


結界が消えた事を確認すると、彼の所属するギルド、「龍の顎(リュウノアギト)」へと転移した




一瞬の浮遊感に瞑っていた目を開くと、目の前にギルドがあった


そのままギルドへ入って行く彼


彼は受付嬢の前へ行き、ギルドカードと縛ったままの山賊達をボックスから取り出して渡す




「あら、今回も早いわね蒼風の氷帝様


確認しましたので、カードの方に報酬を振り込んでおきますね」


「ありがとう」




受付嬢は山賊達を地下の牢に強制転移させた後、ギルドカードを返却する


彼はギルドカードを受け取り、転移で自室に戻りローブを脱ぐ


そのローブの下から出てきたのは15歳の少年


髪と瞳が黒の、所謂忌み子だった


そう、雷帝に拾われたあの忌み子である


彼は雷帝に拾われてから育てられ、特訓も受けた


だからなのかは定かではないが、彼はメキメキと頭角を表し、5年前、彼が10歳の時に蒼風の氷帝となった


蒼風の氷帝とは、ギルドのトップ集団の帝達よりも強かった彼だけに与えられた名前である


ギルドのランクとは、下からF~A、S、SS、SSS、Zまであった


帝とは火、水、風、土、雷、光、闇の属性のどれかを極めた者だけしかなれず、その7人は唯一のZランクであった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る