第一章
僕、死にました
第3話
「…やぁ
初めまして、と言うべきかな………神代 十夜くん」
浮かんだままの僕にそう言った人を見上げた
僕も挨拶しようと思って喋ろうとしたら言葉が出なかった
そこで僕は初めて気付く
僕の身体がない事に
手も足も、顔も髪も首も何もかも
全てがなかった
僕は何もない部屋らしきこの場所で実体のない球体で存在していた
目すらないのに何故か見る事は出来るし、脳もない筈なのに何故か考えられる という矛盾点は、 彼 はこの時気付かなかったし、思い至りもしなかった
僕に話しかけてきたその人は、また言葉を紡ぐ
「突然此処に喚び出して済まなかったね
僕――― いや、ややこしくなるから “俺” と呼ぼうか…
俺は君達の創造主
君達の言葉で言った処の……… “神様” 、だったかな?」
その人は小さく小首を傾げながら―――なんとなく、だが―――悲しそうな笑みを見せた
それに僕は目さえあれば、ぱちくりと瞬きをしていただろう
僕の頭上に―――今、頭があるのなら、という前提条件の下でだが―――疑問符が浮かぶ
疑問を表に出す手段がない為に質問などは出来ないのだが
「君には謝らねばならない
君を産まれるべきでない世界に間違えて転送してしまった様だ
地球なんかでは容量が足りないというのに……
そして、それの説明もなしに君を殺してしまった」
元から理解が追い付いていないというのに、更に訳が解らなくなった
……………ボクヲコロシタ………?
「本当に済まなかったね
君はまだ5つだったというのに…
だから俺は、君に新しい人生を生きて貰う為に君を此処へ喚んだんだ
君の、在るべき場所へ戻そう
………これは俺からの餞別だよ…」
そう言って、何も解らないままの僕に触れた―――と、言って良いのだろうか―――その人
すると、実体のない球体の僕は一瞬だけ薄く輝いた
綺麗だ と思った処で僕の意識は途切れた
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます