第2話
2人で手を繋いで仲良く帰った
途中で事故に遭う事も、 化け物 呼ばわりされる事もなかった
何の取り留めのない、他愛ないお喋りをしていた
きっと、この時が彼と彼女、双子姉弟の最後の至福の一時となった
家に帰りついて、玄関を開けると同時に 何か が出てきた
その 何か は女の子の横の通り過ぎた
男の子の居た場所を
何とも言えない不気味な 肉に刃物が突き刺さった様な音と共に、彼女の右半身に生暖かいドロッとした液体がふりかかった
そして、視界と全身を染め上げる赤―――
「…………………………え?」
彼女は彼の居た場所を見て、固まった
そしてその手から温もりがずり落ち抜け、不自然な形で止まったまま
女の子は理解出来なかった
目の前の現実に
「ウソ………」
ポツリとそう呟き、膝から崩れ落ちた彼女
彼女の瞳に映ったものは、信じられなかった
全身を黒のコートですっぽり覆い、手には血塗れの大鎌
顔はフードで確認出来なかったが体格からして多分男だろう
その男の足下には血塗れで大きな血溜まりの中に、今まで弟だった “物体” が倒れていた
それを認識した時にはもうフード男は消えていた
「……ぁ………ぁ……あ…、いやぁぁぁあぁぁああぁあぁぁあああぁ!!!」
彼女は涙を流し、吼えた
精一杯、声の限り否定し、拒絶する
信じられなかったし、信じたくなかった
大切な大切な弟が一瞬の内に物言わぬ肉塊になってしまった事を
一通り拒絶しまくった後に、彼女は鬼の形相で呟いた
「……殺す…殺す…絶対殺す……もしも 神 なんてものが居るのなら呪ってやる……呪ってやる……!!!」
その後の彼女を知る者は
何処にも居ない
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