第33話

とりあえず、どう反応すれば良いのか分からなかったワタシは、紅の方を見やる


もし隠したいことがあるのだとすれば、ワタシが勝手に何か喋ってしまうのは避けた方が良いだろう


そう思って紅のことを伺い見たのだが、紅もこちらを見ていてパチリとあう2人の目


ちょっと頬に集まった熱は気付かないフリ


紅のこと好きなんだから、しょーがないじゃん…?




美月「………」


紅「………」




お互いに見つめ合って、沈黙


何をしていたと言えば良いのかな…?


気付いたらここにいて、お互いの安否確認して、その後沈黙して…


どう言えば分ってもらえる…?




ギンザス「……えぇいっ!!


黙るなっ!!


ちゃんと説明せんかっ!!」


美月「えっと………」




黙りこくるワタシ達に業を煮やしたギンザスが答えを急くように怒鳴る


やはり返答に困っていると、紅が大きくため息を1つ吐いて喉を震わせた




紅「………はぁ…


ちょっと道に迷っただけだ


そっちこそ何をしている?」


ギンザス「なるほど、そういうことか


たしかにこのラダ森は人が迷いやすいからの…


出口はこちらじゃ」



そう言ってギンザスは歩き出した


ワタシと紅は、1度顔を見合わせ頷きあって、ギンザスの後を追った


ギンザスと名乗った男性は、親切にもラダ森?…だったかな?


とりえず、森の出入り口まで案内してくれた




ギンザス「…ほれ、ここまでくれば後は己らで帰れるじゃろう」


美月「ぁ、ありがとうございますっ」




ワタシは礼を言いつつ、勢いよく頭を下げる


紅は何も言わず、ただペコリと浅く頭を下げただけだったが、ギンザスはそれで満足してみたいだった


ふふっ と笑って




ギンザス「じゃぁの………」




そのまま森の中へと戻って行った


とても不思議な人………




美月「紅…


これから、どうするの…?」


紅「……美月はどうしたい?」


美月「ワタシ…?


えっと……」




ワタシ…


ワタシは……




美月「……紅と一緒に居たい…」


紅「美月……


そういう事じゃねぇけどな?」


美月「ぁう…っ」




一気に集まってくる羞恥の熱


それが見られたくなくて、下に俯く




紅「……まぁ、オレも…


…美月と一緒なら何処でも良いかな…」




ふいにそんな事を耳元で囁く貴方


それで更にワタシの頬は朱く染まる




美月「…もう、ばか…」




紅はクスリと笑い、ワタシの頭を撫でる




紅「……


じゃぁ、ぼちぼち歩くか…」


美月「……うん…」




そっと 小さな声とともに頷き、肯定の意を示す


すると、ワタシの頭を撫でてくれていた紅の手がスルリと落ちる


………少し寂しい


そう思っていると、不意にワタシの手に温もりが伝い、絡まる


紅の手とワタシの手が繋がれた


それが嬉しくて頬を朱に染めながらも紅を見上げれば、絡み合う視線


ふわりと紅が微笑み、ワタシは更に顔を朱くする事しか出来なかった

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