第26話

?「…ったく、夢なんかじゃねーぞ


現実だ、ゲ・ン・ジ・ツ!


あっ…と、オレの名前は紅龍、五つ神の中で火を司る」




紅い彼、紅龍の言葉がボクの胸を打つ


夢じゃ、ない…?


現実?


……本当に?


ボクはもう……………


一人じゃ、ないの…?


一人じゃない


そう分かったら、ボロボロと涙が溢れ、頬をつたっていた




紅龍「わっ!?


どうした、神華っ!?


どこか痛いのか?」




突然泣き出したボクに紅龍は焦って問いかける


それも、ボクを怖がらせないためか、わざわざかがんで僕の顔を伺うようにしていた




神華「…ち、違う………っ


嬉しい、だけだ…っ!!」


紅龍「そっか…」




紅龍がホッとした表情で、ボクの頭を優しく撫でてくれた


それがとても気持ち良くて、更に涙が溢れて止まらなかった




?「あぁー、紅龍が神華泣かしたぁー


サイテー!


僕の名前はぁー、雷龍ぅー(ライリュウ)


雷をー司るのぉー


よろしくねぇー?」




金髪の可愛い男性が間延びした声で言う


やはり声や名前からして男性の様だ




?「雷龍、そのしゃべり方をやめろ


馬鹿に見えるぞ


神華、オレは緑龍(リョクリュウ)


緑、大地を司る」




翆色の髪の男性が雷龍を窘めてから言う


雷龍はそれにほっぺを膨らませていて、可愛かった




?「オレは風龍(フウリュウ)


風を司る」




最後に長い白髪ポニテの男性が簡潔に言う


やはり、どことなく掴みづらい人だ




神華「………紅龍、翠龍、雷龍、緑龍、風龍…


ボクは一人じゃない、よね…?」


紅龍「何言ってんだよ?


オレ達がいるだろ?


神華は一人じゃねーよ」




紅龍の優しい声が響く


そしてまた紅龍の優しい手がボクの頭を優しく撫でてくれた


さっきからずっと、涙が溢れて止まらない




神華「あ、り…がと………」




ボクはその後およそ1時間ほど泣き続けた


全く、人様の前で泣いてしまうとは…


恥ずかしい…っ


……でも、紅龍達って人なの…?


五つ神って言ってたから人じゃない、よね…?




紅龍「神華…?


大丈夫か?


安心しろ


オレ達は神華を一人にしないよ」


神華「ホント…?


絶対だよ…?」


紅龍「あぁ…」


翠龍「もちろん」


雷龍「当たり前ぇー」


緑龍「ん…」


風龍「大丈夫ですよ」




ボクは皆のこの言葉で凄く安心した


だって、これでもうボクは一人になることはないのだから


皆が約束していくれたから…




でも…


皆のあの言葉は


あの約束は


守られることはなかった




と言うよりも、五つ神の皆に約束を


破られたんだ…

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