第21話
紅「っ!?」
翠龍「フンッ、ちゃんと閉じ込めてやったぞ?
逃げられるものなら逃げてみろ
…まぁ、その水の玉は貴様を捕まえる為に神気を大量に交ぜてあるから、ちょっとやそっとじゃ壊れねぇと思うけどな?」
翠龍が勝ち誇った様に言う
紅は水の玉の中で苦虫を噛み潰したような顔になった後、己の身体に火を纏う
が、いくら火力を強めても翠龍の水に一瞬で消されてしまう
紅はそろそろ息が持たなくなってきたのか、苦しそうな表情に変わっていく
そんな紅を見下ろし、翠龍は愉悦に顔を歪めた
翠龍「そんなことをしても、その中からは逃れられん
……時間を無駄にしたな、行くぞ」
そう言って、己の足元と紅を閉じ込めた水の玉の下に水で複雑な魔方陣を描き始める翠龍
このままでは紅が翠龍に連れ去られてしまう
今度こそ、独りになってしまうかもしれない
その恐怖が、信哉を襲う
信哉「………めろ…ゃめろ…
止めろ、止めろ、止めろぉっ!!!」
その恐怖に耐えきれず、つい信哉は叫んでしまった
バァンッ!!!
信哉が叫んだ後、凄い音がして紅を閉じ込めていた水の玉と魔法陣が破裂し、紅が床に落ちる
翠龍「なっ!?」
翠龍は目の前で何が起こったのか理解しきれず、何をするでもなく、咳き込んでいる紅を呆然と見る
信哉はその間に苦しそうに咳き込む紅に駆け寄った
信哉「紅っ!!」
紅「ゲホッ…
信哉…」
信哉「紅、大丈夫っ!?」
紅「ぁ、あぁ…」
信哉「良かった…」
信哉は紅の無事を確認し、ほうっと息を吐き出す
そんな2人を見ていた翠龍は、動揺を隠せず信哉に問う
翠龍「貴様、今何を………、何をしたっ!?
………あれは、私以外には神龍様にしか、壊せぬはずだったのに何故このような子どもが…?
貴様は何者だっ!?」
信哉「…は?
……何者って言われても…」
翠龍の突然の問いに信哉は困惑する
なかなか答えようとしない信哉に焦れたのか翠龍は、今度は紅に問う
翠龍「紅龍!
何だ、その子どもは!?」
紅「ハッ、まだ気付かないのか?
お前はもう、自分で答えを言っているだろう、そうだと認めたくないだけで」
翠龍「何だと…?
まさか貴様、この子どもが……」
紅「やっと気付いたか…
そうだ、信哉は……………神龍の生まれ変わりだ…!!」
信哉「……は…?
神龍…?」
紅は翠龍の問答の末、そう宣った
翠龍「っ!!!
そんな…」
リン「…ぇ…?
シンヤが神龍様…?」
ライド「神龍…?」
ギンゼス「っ!?
シンヤが、あの…?」
信哉本人以外は三者三様の相違はあるが、皆非常に驚いていた
が、信哉にはまず神龍というもの自体が何なのか分かっていないので、話についていけていない
皆の驚きようから、何か恐らく凄いことのようだが、信哉には何が凄いのかさっぱり解らない
信哉「………ゴメン、紅…
神龍って何?
てか、誰?」
とりあえず、1番の疑問を紅に尋ねる
何もわからないままでは、どう反応すべきなのかも今一解らないのだ
そんな信哉の状態を理解してくれたのか、紅が少し吃りながらも簡潔に応えてくれた
紅「え…?
ぁ、えっと…神龍ってのは、オレ達五つ神の産みの親みたいなもんだ
…いや、オレ達五つ神だけじゃなくて、この世界の生きとし生けるもの全てを作った、原初の神、創世神だ
因みに、神にも階級みたいなのがあって、1番強いのが神龍
で、その次はオレ達五つ神だ」
信哉「へぇ………
で、オレがそのなんか凄そうな神龍?」
紅「そう」
信哉「………何の冗談?」
紅に躊躇なく肯定されてしまうが、こんなこと冗談にしか思えない
というよりも、冗談であって欲しい
が、次の瞬間に紅によってその希望は儚く散った
紅「いや、冗談ではない……」
嘘だろっ!!?
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