第14話
うなだれるように謝った信哉に、ギンゼスは穏やかな顔で言葉を紡ぐ
ギンゼス「なに、そんなに堅くならんでも良い
ジンボ・シンヤ、そなたに聴きたい事があるのだ
まずは…
そうだな、そなたを“シンヤ”と、呼び捨てにしても良いかな?」
信哉「ぁ、はい」
好々爺然とした表情で言うギンゼス
見た目年齢は、まだ20代後半あたりの若い男性なのに、好々爺という言葉は適切ではないのだろうが、そうとしか表現のしようがなかった
ギンゼスのその態度と器の大きさに驚きつつ返事をした
すると、ギンゼスが口元を覆い、上品に笑う
ギンゼス「ふふ…
そなたに我を“ギンゼス”と呼んでくれて良い、と言ったであろう?
だから、敬語なんぞ使わなくて良い」
信哉「ぇっと、じゃぁ……うん?」
ギンゼス「ふふ、ありがとう」
敬語でなくて良いと言うギンゼスにとりあえず友達と交わすように応えると、嬉しそうに微笑む
信哉の勝手な憶測だが、いつも他人(ヒト)から、“様”などつけられ畏まれて、他人との距離を遠く感じていたから、フツーに接してもらえて嬉しかったのかもしれない
そんなことを思っていると、話は早々に本題へと入る
ギンゼス「では、シンヤ
本題に入るぞ」
信哉「本題…?」
ギンゼス「そうだ
リンがシンヤを此処に連れて来たのには、理由(ワケ)あっての事だろう?
リン、そなたがシンヤを連れて来た理由を教えてはくれんか?」
リン「はい
本日、此処にシンヤを連れて来た理由は、私は彼が、予言の子だと確信したからです」
予言の…子…?
信哉は意味が解らずリンを見て首を傾げるが、ギンゼスにはそれで通じたらしい
ギンゼスがイスから勢いよく立ち上がった
ギンゼス「それはっ!
それは誠かっ!?
シンヤが………予言の、子…?」
さっきまでの紳士ぶりはどこへやら、ギンゼスの声が驚愕の為震えていた
信哉は相変わらず自体が呑み込めず、頭上にクエスチョンマークを飛ばす
リン「はい…
間違い、ありません」
リンはよほどの確信があるようで、堂々とそう言い切る
だから、その根拠は何なのか、ギンゼスも知りたかったようでリンに尋ねる
ギンゼス「……して、その根拠は…?」
リン「それは………」
意を決したように、それでいて言い難そうにリンが言葉を紡ぐと共に、クラッといきなり身体が揺らいだ
信哉「っ!」
リン「シンヤっ!?」
ギンゼス「シンヤ!」
2人の心配そうな声が聞こえた
大丈夫だと反射的に応えようと思ったのだが、全然大丈夫ではなかった
そして、リンの心配そうな顔が見え、それを最後に意識が遠のいて行った…
何故という疑問を残しながら、そこで信哉の意識は途切れた
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