第8話

何故、2人して絶句してしまったのかと言うと

信哉とリンの目の前には、血だらけで倒れているライドがいたからだ


恐らく、ライドが“化け物”に弾かれたか押されたのか、とりあえず力負けして吹っ飛ばされ、壁に激突したようだった




リン「っ!!!


ら、ライド…?


ライドっ!!!


待ってて、今治療するからっ!!!」




リンは、血塗れのライドに駆け寄り、ライドの損傷部に手を翳す


恐らく何らかの魔法か術らしきもので、治療をしだした


とりあえず、リンに任せておけばライドは大丈夫だろう


だが、それで全てが終わりという訳ではない


そう、“化け物”はまだ、死んではいない


今にもリンとライドに襲い掛かろうとしている


今は、動揺している場合ではない


オレが、ライドとリンを護らないと…


そう決意を固め、心の中で紅に話しかける


紅、力使うけど、良いよな?


今回は、火力をちょっとだけ上げてくれ、アイツ…ムカつくから、消し炭にしてやる…




「おぉ、今回は殺る気だねぇ♪


良いぜ、面白そうじゃねぇか…」




紅の了解も得て、“化け物”を真正面に見据える


大丈夫だ、いつも通りあれを燃やせば良いのだ




信哉「燃え尽きろ…っ!!」




ゴォっ!!!


信哉のその言葉に反応して、“化け物”の全身に火が回る




「オ゛ア゛ア゛アァアア゛ッ!!!」




化け物は紅蓮の大きな炎に包まれて、跡形もなく消え去る


紅は言った通りいつもより熱量の多い、大きな炎を貸してくれた


目の前の脅威が消え、信哉は安堵する


リンとライドを守れた、人を守れたのだと嬉しくなった




リン「……………シン、ヤ…?」




リンに呼ばれ、そちらへと視線をやる


リンの声と身体は、凄く震えていた


もう脅威は去ったと言うのに、とても怯えた者のそれだった




信哉「…?


リン、どうかした?


もしかして、火が当たった?」


リン「………


そんなんじゃ…ない…


シンヤ、その能力……………


シンヤは何者なの?」




リンが恐怖に戦いた声で尋ねてきた


だが、リンのその問いに対する答えを信哉は持ち合わせていないので、言葉を濁すよりほかはない




信哉「…ぇ?


な、何者って言われても…」


リン「…その能力…


五つ神、火神の…、紅龍(コウリュウ)」




は…?


五つ神…?


火神…?


紅龍…?


また、知らぬ単語が出てきたことに信哉は頭上にクエスチョンマークを飛ばす


信哉がさっきの“化け物”を殺すために使ったのは紅の炎だ


特には技名とかを聞いた覚えもないので、ただの炎としか思っていなかったが、リンの驚きようは普通ではない


五つ神、火神の紅龍とは自身のナカに居る紅なのだろうか…?

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