第7話

「オァァアアァアァァア゛ッ!!!」




いきなり、“化け物”の咆哮が聞こえた


突然のそれに信哉はつい肩をビクリと撥ねさせる




ライド「チッ、こんなときに出てきやがって…


シンヤは、リンと一緒に此処にいろよっ!!!」




ライドはそう言うと、化け物の声がした方へ駆けて行った


信哉は“化け物”の咆哮で気分が悪くなりつつも、1人で“化け物”の方へ行ってしまったライドが心配になる




信哉「…ねぇ、ライド1人だけで大丈夫なの?」


リン「ん?


彼なら大丈夫だよ


ライドは、僕の自慢の相棒なんだからね」




リンはライドのことながら、まるで自分のことのように誇らしそうに、その薄い胸を張って言った


信哉はリンのその言葉に小さな疑問を抱いた




信哉「………ん?


“僕”…?


さっきは私って言ってなかった?」


リン「あぁ、初対面の人にはつい癖で…


でも、そのせいでよく初対面の人には女性に間違えられたりするんだよね…」




リンは少し困ったように眉尻を下げながら肩をすくめた


そんな仕草も、リンが美人なのでよく似合うが、信哉はその言葉に固まる


リンはよく女性に間違えられると言ったのだ


ということは、だ


リンは女性ではないのだ


すなわち、リンは男性である…と……




信哉「ええぇ!?


リン、女の人じゃなかったの?」


リン「そうだよ、僕は男だよ


シンヤも女の人だと思ってたの?


ヒドイよ」




恨みがましい眼でリンに見られた


確かに、自分は男なのに女の子に間違われるというのはとても屈辱的なことである


だがしかし、リンはパッと見ると普通に美人だし、声も男性にしては高めだし、物腰が柔らかいし

ライドと頭1つ分の身長差があることも相まって、勝手に女性だと思っていた




信哉「ごめんね、リン…


リンが美人だから、女性かと思ってた


ホントにごめん!」




そう言って、勢いよく頭を下げる


と、その時、何か大きなものを叩きつける音と、ライドの声が聞こえた




ライド「ぅあ゛っ!!!」


リン「ライドっ!?


っ…シンヤ、行こうっ!!」


信哉「おぅっ!!」




信哉とリンは、ライドのいる方へ走り出した


信哉は、50m走を5秒代で走り抜けられるほど早いのだけど、リンも信哉に負けず劣らず、早かった


信哉とリンはほぼ並走するかたちでライドの元へと駆けつけた


そして、その先の光景を見て、2人とも絶句した

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