第24話

このままお姉ちゃんと家に帰れると思ったのに、それは叶わなくて。


玲央くんに強引に引っ張られて、お姉ちゃんと引き離されてしまった。

お姉ちゃんが焦燥して慌てて私を引き戻そうとしたけど、玲央くんのお兄さんに抱きしめられてしまって。

抵抗することなど出来なかった。


さっきのお兄さんとは違う、お姉ちゃんと一緒に来た玲央くんのもう1人のお兄さんはニコニコ笑顔なのに、私に視線を向けると冷たい瞳を向けてきた。


「っ!!」


ゾッと身震いして、悲鳴をあげそうになるのをこらえると視界にお姉ちゃん達が入らなくなった。


とん、と押される感覚に目を瞑ると、扉の閉まる音がした。

はっとして目を開けると。


床に倒れ込んだ私を見下ろす玲央くんと目が合う。

何を考えているのか分からない無表情に、唾を飲む。



「お、お姉ちゃんと帰りたい……っ」


「駄目だよ。里奈のお姉さんは兄さん達のものだから。今日……もしかしたらずっと帰れないよ。」


「っ、そんな……っ! 玲央くん、私を騙したの!?」


お姉ちゃんがここにいるっていうから、連れてこられたというのに。

実際にはいなくて、お姉ちゃんと会えたのに引き離されてしまった。


私とお姉ちゃんを騙したようなものだと思う。


泣きたくなんてないのに、恐怖心で涙がボロボロと溢れ出てしまう。



「ひっ……うぅ、お姉ちゃん……っ」


「騙すなんて人聞き悪いな。俺は里奈を兄さん達は里奈のお姉さんを愛してるから、手に入れようと計画しただけだよ」


「っ、あ、愛してるって……意味が、」


すっと玲央くんが私の前でしゃがみこみ、ふ、と小さく笑う。

だけど、心からの笑みではなく、涙で視界が定まらないからなのかとても不穏に感じた。

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