第23話

涙を流しながら睨んでも効果は無いけど、ただされるがままだっていうことが嫌だった。


「……ふ。可愛い。そんな涙流しちゃって。」


「や、やだ! 止めて!」


首に顔を埋めてきた玲央くんに、必死にいやいやするように首を横に振る。


吐息が首に当たり、ゾワッと身体を震わすと。


「いった、」


歯を立てられ、ツキ、と痛みが走る。唇を強く噛み締め、痛みに耐えているとそのまま吸いつかれてしまう。


「うっ、〜っ!!」


痛いのに、肌に当たる玲央くんの髪が擽ったくて。

身体が熱くなる。


おかしくなってしまいそうで、怖くて。


必死に耐えていると。



「……あ、兄さん達帰ってきた。」


「!」



玲央くんがふと顔を上げて、ドアの方を見て言った。首から離れたことに内心安堵して、慌てて玲央くんから逃れると。


簡単に離れることが出来た。距離を取ろうとしたけど、玲央くんがムッと眉を寄せて肩を寄せられてしまう。



「俺から離れようとしたり、逃げようとしたらダメだから。分かってる?」


「っ、」


「里奈のこと脅したくないけど、写真撮ったってこと忘れないで。」


脅しとも取れる発言に、震えながら小さく頷く。

あのままお兄さんが帰って来なかったら……そう想像するだけでゾッとする。

まだ感触が残っているのが、違和感を覚え手で首を覆っていると。




「里奈!」


「あ!」


お姉ちゃんの声がして、慌ててお姉ちゃんの元へ駆け寄った。

漸く会えたことに涙ぐんでるとお姉ちゃんが少しホッとしたような顔をした。

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