第21話

玲央くんを信用してしまったのが間違いだったのだと、玲央くんの家に着いて気付く。



中へ案内され、ソファーへと腰掛けるように言われて素直に従った瞬間だった。



「っ!?」


ドサッと身体をソファーへ押し倒されたのは。何事かと身動き取れずに固まっていると、玲央くんが笑みがこぼしながら覆いかぶさってきた。



「っ! は、離してっ!!」


ギュッと手首を掴まれ、顔の脇に押さえつけられてしまい慌てて抵抗しようとしたけど力で適う筈もなく。

足をバタバタしようとしたけど玲央くんの足の間に腰が挟まれてしまった。


「里奈ってば騙されやすいな。だから、心配だったよ。里奈を狙ってる奴らに騙されないかって。」


「な、何を言って! それは目の前にいるじゃない!」


私をからかって楽しんでいたの!?

お姉ちゃんがいるなんて嘘だったんだ。男の人と2人きりだということに危機を感じで叫ぼうとした時。


ーーパシャ


「え……?」


急に聴こえてきたカメラの音に、目を見開くと。

玲央くんがくく、と笑った。


な、何……?

何処から聴こえたの……?


顔を横に向けると。



「綺麗に撮れたよ、玲央。」


「ありがとー兄さん。」


「!」


だ、誰!?

そこに携帯片手に立っていた見知らぬ男の人に、身体をビクつかせると。

私の視線に気付いたその人は、ふむ、と首を小さく傾げた。



「やっぱり紗奈に似てるね。」


「それはそうだよ。姉妹なんだから。でも、里奈の方が幼くてお転婆だ」


「確かに紗奈の方が大人っぽいね。まぁ、2人とも美人だけど」


玲央くんとその人がどういう関係なのかは知らないけど普通だったら、見知らぬ女の子を押し倒されていたら止めないだろうか。


全く動揺もせずにいるその人に唖然としてしまう。

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