歪んだ愛
第17話
【里奈side】
「ひっ!! や、やだ、止めてっ」
何でこんな事になっちゃったんだろう。
あの時、家から出なければ、言葉に騙されて付いて行かなければーーこんな事にならなかったのかな。
後悔したって遅い。
だって目の前にいる玲央くんに押し倒されて、服を脱がされそうになっている。
力なんて適わない。
「はは。ようやくこの時が来たよ。里奈……ずっと好きだった。だからいいよね?」
「っ、いやあああ!!」
ーーー助けて、お姉ちゃんっ!!
お姉ちゃんが助けに来れないのはあの光景を見たら、分かってる筈なのに。
それでも思わずにはいられなかった。
* * *
佐久間玲央くんとは同じクラスだ。カッコよくて温厚な彼はよく女子からモテた。
私の友人も彼のことを好きみたいでよく玲央くんの話をされた。
皆女子が彼に好意を抱く中、私は皆とは違う印象を抱いていた。
それは[恐怖心]。
人に接している彼は傍からみても、穏やかで優しいと思う。
常に笑顔で誰もが好意を抱くだろう。
だけど、私は彼の瞳が怖かった。
「っ!」
鋭い視線を感じて振り向くと、いつも佐久間玲央くんと瞳が合う。
何で他の人が気づかないのかと疑問に思ってしまうくらい、私に対してだけ何故か冷たい。
もしかして玲央くんは私の事が嫌いなんじゃないかと思う。
彼と全く面識もなく接触もしていないというのに何で嫌われているのか分からないけれど、それならそれで見てこなくていいのに。
どうして視線を感じさせるほど見てくるのか。
ビクッ肩を震わせて、慌てて彼から視線を背けることはもう数しれずだ。
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