第16話



「やっ、ああぁ!!」


こんなの悪夢だ。

初めて会った人に、襲われているだなんて。


好き勝手に動いていく指に、どこもかしこも反応して身体がビクついてしまう。

信じられない状況と、嫌という程思い知らされる快感にガンガンと頭が痛む。



「ひ、あ……っ!」


ぐちゅ、とした音と共に佐久間さんの指が下肢へと触れ動かされる。

ビクッと身体が跳ね、涙を溢れ出した。



「あは。紗奈ちゃんかわいーね。」


「知らなかった。紗奈は快感に弱いんだな」


「そうみたいだね。もう何回もイッちゃってるもんね。はは、感じやすい紗奈ちゃんも好きだよ?」



「んんっ、んっ!!」


佐久間さんが耳朶を噛み、2人の指が私の身体を暴いていく。


頭がおかしくなる。


ここから逃げたいのに、絡み合う2人が私を縛りつける。



「紗奈ちゃん大丈夫だよ」


「っあぁ、」


何が大丈夫だというのだろう。

わけがわからなくてただ喘ぐことしか出来ない。



「安心しておかしくなればいいよ。紗奈の事は何があろうと絶対に離さないから」



クスクスと笑いながら、身体を押し付けられる。


嫌なのに、嫌なはずなのに。

何でこの身体は感じてしまうんだろう。



ギュッとシーツを握りしめれば、手を取られて噛まれてしまう。

痛みでさえ快感へと変わってしまうのだからどうしようもない。



出来るのなら早くこの悪夢が終わって欲しいことだけだ。




早く早く意識を失ってしまえたらーーー。

終わらない狂気に絶望しか感じない中、抵抗なんて出来ずにただ身をふるわせるだけしか出来なかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る