第16話
◇
「やっ、ああぁ!!」
こんなの悪夢だ。
初めて会った人に、襲われているだなんて。
好き勝手に動いていく指に、どこもかしこも反応して身体がビクついてしまう。
信じられない状況と、嫌という程思い知らされる快感にガンガンと頭が痛む。
「ひ、あ……っ!」
ぐちゅ、とした音と共に佐久間さんの指が下肢へと触れ動かされる。
ビクッと身体が跳ね、涙を溢れ出した。
「あは。紗奈ちゃんかわいーね。」
「知らなかった。紗奈は快感に弱いんだな」
「そうみたいだね。もう何回もイッちゃってるもんね。はは、感じやすい紗奈ちゃんも好きだよ?」
「んんっ、んっ!!」
佐久間さんが耳朶を噛み、2人の指が私の身体を暴いていく。
頭がおかしくなる。
ここから逃げたいのに、絡み合う2人が私を縛りつける。
「紗奈ちゃん大丈夫だよ」
「っあぁ、」
何が大丈夫だというのだろう。
わけがわからなくてただ喘ぐことしか出来ない。
「安心しておかしくなればいいよ。紗奈の事は何があろうと絶対に離さないから」
クスクスと笑いながら、身体を押し付けられる。
嫌なのに、嫌なはずなのに。
何でこの身体は感じてしまうんだろう。
ギュッとシーツを握りしめれば、手を取られて噛まれてしまう。
痛みでさえ快感へと変わってしまうのだからどうしようもない。
出来るのなら早くこの悪夢が終わって欲しいことだけだ。
早く早く意識を失ってしまえたらーーー。
終わらない狂気に絶望しか感じない中、抵抗なんて出来ずにただ身をふるわせるだけしか出来なかった。
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