第15話

「あなた達のものになるから……だから、止めて……っ」


自分でも情けない程震えた声がもれた。

ピタッと止まった手にほっとしたけど、今後のことを考えたら気が重い。


言ってしまった……。

でもこうするしか……なかった。


例え自分が今後どのような目に合ったとしても。

里奈の画像をネットに載せられるよりマシだ。

あの子にはツラい目に合わせたくない。


「あは。望んでた言葉を言ってくれてどうもありがとう。バッチリ録音させてもらったよ」


「え……?」


「証拠は大事だからね。あぁ、安心して。里奈ちゃんのは俺たちはもう必要ないから消してあげる」


佐久間さんがふっと口角に笑みを浮かべて、いつの間にか持っていたボイスレコーダーを軽く振った。


思わず息を呑む。

いつの間に……っ。


「言質は取った。紗奈はもう僕たちのものだよ。だから何があろうと絶対に離さないからそのつもりでいてね。」


弟さんがタブレットから指を離し、にっこりと微笑んだ。

そんな表情も出来るのかと驚くと、ベッドへと身体を押し付けられる。


「な、何を……」


「さぁ。何をしようか」


弟さんが首を軽く傾け、そして歪んだ笑みを浮かべた。その笑みにゾッとする。


冷や汗をかき、慌てて身体を起こそうとするけど佐久間さんにも身体を押さえつけられてしまった。


「紗奈ちゃんが漸く俺たちのものになってくれたんだね。ふふ、嬉しくてどうしよう」


「あ……、」


佐久間さんも同じように歪んだ笑みを浮かべ、2人から見下ろされてしまう。


伸ばされた手に震えながら見てることしか出来なかった。

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