第8話
「は、離して下さいっ」
「駄目だよ。玲央のこと邪魔しちゃ。」
里奈のことを助けてあげたいのに、ぐいぐいと引っ張られてしまい距離が離されてしまう。
「お、お姉ちゃんっ」
里奈の叫びに、青ざめるが連れてかれてしまった。
ど、どうしよう。
里奈のことを助けに行く為には、まずはこの2人をどうにかしなきゃいけない。
「漸く俺たちだけになれたね。玲央が満足そうで良かったね薫」
「うん。僕達で話したいのに、里奈は邪魔だから」
「っ、きゃ!?」
ドサッとソファに押し倒されてしまい悲鳴をあげる。
慌てて立ち上がろうとしたけど、弟さんに押さえつけられてしまい叶わなかった。
私を囲むように見下ろす2人に、堪らず睨みをきかせるが全く効いていないようだ。
「紗奈ちゃん俺と薫はね、ずっと紗奈ちゃんのこと探していたんだぁ」
「……え?」
探していたって……一体どういうこと?
私たち、今日が初めての筈なのに。
「まさか里奈ちゃんのお姉さんだなんて知らなかったからさ、驚いたよ。今日、合コンに来るって聞いて参加出来て良かった。まぁ、そんなの関係なく紗奈ちゃんのこと俺たちの所に連れてくるつもりだったんだけど」
佐久間さんが、私の手を取りながらにっこりと微笑む。
「あ、俺たちとは初対面じゃないよ?」
「まぁ、紗奈は覚えていないかもね。夜だったし、暗かったから」
夜に出会った……?
ダメだ、全く思い出せそうにない。
こんな顔の整った人たちを一目見たら、印象に残って覚えていてもいい筈だけどどう考えても思い出せそうにない。
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