第7話

「里奈?」


怯えた目で見つめる先を私も見ると。そこには、明るい茶色の髪色をした男の子が里奈のことを凝視していた。


こ、怖い。

穴が開きそうなほど里奈のこと見てる。


それに、誰だろ。

佐久間さんに説明を求めると、彼はそれは愛おしそうに目を細めてその男の子の頭をポンと撫でて説明してくれた。


「俺の一番下の弟の玲央だよ。可愛いでしょ?」


「弟!? あぁ、そういえば弟が2人いるって言ってましたね……」


なるほど。家にいるんだから身内に決まっているか。

それにしても里奈のこの尋常ではない怯え方は何なんだろう。


「里奈、あの子が怖いの?」


「っ!! わ、私……玲央くんの家だなんて知らなくて。玲央くんがに、苦手なの……」


コソッと聞くと里奈は震えた声を出した。


「玲央はね、里奈ちゃんと同級生なんだよ。里奈ちゃん、玲央はさ君のこと好きみたいだから、付き合ってやってよ」


「えぇ!? そ、それは……」


「里奈。付き合おうよ。それに、学校でも何回も告白したと思うんだけど」


「あっ、う……で、でも……」



助けを求めてきた里奈に、頭を抱えたくなった。


里奈は知り合いだったのね。


「玲央、自分の部屋に里奈を連れて行って。僕達は紗奈と話しなきゃいけないんだから」


「薫兄さん、そうするよ。おいで里奈」


無言でいた弟さんがふと、痺れを切らしたようにそう玲央くんに言った。



「や、やだっ……」


「え!? り、里奈!!」


玲央くんは無理矢理私たちを引き離すと、里奈の手を掴んで連れていこうとしてる。

慌てて里奈のことを助けようとしたけど、右手を佐久間さんに、左手を弟さんに掴まれてしまった。

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