第4話

渋々といった感じで、諦めたのか漸く私を解放してくれた。


また、と告げて友人と別れて帰り道を歩く。


ようやく1人になれたことにホッと安堵した。あーもう疲れた。


早く家に帰ってのんびりしたい。


〜♪

ラインが鳴って、画面を見ると妹からだった。


『まだ帰ってこれないの?』


寂しがり屋の妹がどうやら待ちくたびれてるようだ。

妹と二人暮しだから、早く帰ってあげないと。


今帰る、と打って足早に進もうとした時。



「紗奈ちゃん」


「え……?」


その声にびっくりして固まってしまった。だってそこにはさっきお別れしたばかりの佐久間さんが立っていたから。


電柱のライトのお陰で顔が見えるが、何故か笑っているのに私には不気味に見えてしまった。


そして、佐久間さんの隣には先程の合コンではいなかった男の人がいた。

じっと見つめられて、ビクッとしてしまう。



「良かったーまだ帰ってなくて。紗奈ちゃんのことここで待ってたんだけど、正解だったね薫」


「……うん。こんばんは、紗奈」


佐久間さんはニコニコ微笑みながら、隣にいる男の人と近寄ってくる。


逃げないと、と本能的に思ってしまったけど予想外のことに足が全く動いてくれなかった。


恐怖心を抱き、身体が震えてしまう。

異様に見える2人に、私は目を逸らせなかった。



「…………、」


「紗奈? どうしたのそんな青ざめた顔をして」


「な、何で私の名前……」


「? 晃に聞いたから。名前で呼んだら駄目だった?」


佐久間さんから聞いたからといって何で、それで呼び捨てになるの。

初対面なのに。


佐久間さんを見ると、佐久間さんも不思議そうな顔をしていた。



「あ、そうだったね。ごめんごめん。こいつは俺の弟の薫だよ。さっきも話したけど、1つ下の弟なんだ」


「お、弟さん……」


通りで何となく顔立ちが似てると思った。

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