第23話

「今日も美羽ちゃんはとっても可愛いなぁ。今日はやっぱりデートを止めて家でずっとイチャイチャしてない?」


「ダメです。今日は約束した筈ですよね? 私は普通のデートがしたいんです」


「一緒にずっといたいのになぁ」



寂しそうにそう呟くと、ようやく離れてくれた。


自分だけばっちし着込んでいる癖に何を言っているんだか。


先輩の部屋の中にある鏡を見ると、首筋にはたくさんの痕がついていた。



「!!首が見える服着れないじゃないですか!! 何でこんなキスマーク付けるんですか!?」


「美羽ちゃんが愛おし過ぎて。だって美羽ちゃん、俺が独占欲強いのは分かってるでしょ?」


「嫌という程に!! だからってこれは付けすぎです。学校でだって体育ある時どうするんですか……」


「俺の、って証だから隠さないで堂々と居ようよ」


「絶対嫌です」



これ以上好機の目に晒されたくない。


あーもう……。

コーンシーラーで何となくカバー出来るかな……?



飽きれながら先輩を見るけど、ニコニコ嬉しそうな顔をしているのに毒気が抜かれた気持ちになるのだから自分でもつくづく累先輩が好きなのだな、と改めて実感してしまう。



その後、先輩が偉んだワンピースを着て、カーディガンを羽織ると累先輩は可愛い可愛いと絶賛してくれた。ーーしつこい程に。


首はコンシーラーで頑張ってカバーしてみたが、取れないことを祈るしかない。



リビングへ向かうと、そこには甘い雰囲気を出している2人がいた。



「…………慧くん……?」



「咲可愛い。今日はずっと一緒に居てくれるだろ?」


「慧……」


ソファに座って2人とも見つめあってる。

慧くんの目が愛おしくてたまらないと言わんばかりに甘いし、その視線の先にいる咲さんは頬を赤く染めそていた。



慧くんが累先輩のようで思わず胡乱な目を累先輩に向けると、ん?と首を傾げられた。



「ふふ。良かったね、慧。慧と咲がくっついて俺もとても嬉しいよ」


その言葉に慧くんと咲さんがバッと勢いよく振り返った。

一気に2人から視線を向けられ、ビクッとすると慧くんが珍しくも表情を緩ませてとても嬉しそうな笑みを浮かべた。


その笑みは累先輩に似ている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る