似た者兄弟

第17話

先輩の家にお邪魔することはもう諦めている。


今日も今日とて先輩のお家にお邪魔していると、リビングのソファで寛いでいる累先輩の弟ーー慧くんが携帯片手に指を動かしながら舌打ちをしていた。


怖っ。


何で舌打ちしてるんだろう。



「慧くんはゲームでもしているの?」


「あ? あぁ、義姉さんか」


「いやいやまだお姉さんになってないから……というか義姉さんって呼ぶのは止めて」



まだ私は16にもなっていませんし、慧くんと私は同い年だ。

なのに姉と呼ばれるのはちょっと……いや、かなり遠慮したい所。



「はぁ? そんなのどうでもいいよ。それよりも兄さんは?」


「累先輩? 何か呼び出しかかったって言って行ったよ。直ぐに戻ってくるとは言ってたけど」


「ふーん。なら兄さんの部屋に居たらいいのに」


「累先輩の部屋は……ちょっとね。」



遠い目をしていると慧くんは意味が分からないといわんばかりの視線を向けてきた。


おそらく兄として尊敬しているであろう累先輩の人相を崩しかけないから言わないでおくけど。


累先輩の部屋にはあまり居たくない。


何故かって?

あの人、自分の部屋に監視カメラ付けてるから。

それも何台も。


先輩の部屋に居たら私の行動全てが映されているというわけで。


私の様子を一緒に見ようと言われて、パソコン越しに自分と先輩の様子だったり、営みを見せられたらした私の心情はもう大変だった。



「ねぇ、それよりも私の呼び方変えてくれない?」


「どうでもいいんじゃないの」


「良くないの。」


「なら美羽。これでいい?」


「うん。義姉さんって呼ばれるより断然いい」



これでいたたまれない気持ちになることは無いだろう。

呼び方を変えてくれる慧くんに安堵していると、また慧くんが携帯を見ながら舌打ちをした。



「何をそんなにイラついて……って。」


「勝手に人の携帯画面見なーい。まあ、見ちゃったもんは仕方ないしな」


「うわぁ……送信半端ない。……ストーカー並だね……」


連絡ツールにはヅラヅラと慧くんが送ったものばかりが写っていて、相手からは短い言葉のみが返ってきていた。


累先輩も返信返さないとヅラヅラと送ってくるけれど、この兄弟は似ているらしい。

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