第14話

結局、今日も自分の家に帰れずに累先輩の家にお邪魔することになってしまった。


抵抗はしたんだけど、引き摺られるように連れ込まれてしまった。


お母さん……何で自分の娘が帰ってこないのに止めないんだ……。

慌てて連絡したけれど、嬉しそうな声で「累くんに許可しておいたわよ」と返されてしまった。


ジトと累先輩を見るけれど、素知らぬ顔をしていた。



「私、ずっと家に帰ってない気が……」


あれ、前に自分の家に帰ったの何時だろ?


とにかくここ1週間ぐらいは帰ってない気がする……。

累先輩の両親も止めないし、私のお母さんも止めないからずるずると先輩の家に滞在することが延びてしまってる。



「美羽ちゃん明日話しちゃ駄目だからね」


「え?」


急に言われてなんの事か直ぐに分からなかったけれど、矢田くんと話しちゃいけないということが分かった。


いや、もうどうでも良くなったから聞こうとは思わなかったけれど、どれだけ嫉妬深いんだよと思ったのは無理もない。



「美羽ちゃん分かった? 話したら直ぐに分かるからね」


「前から不思議に思ってたんですけど、何で分かるんですか?」


「ん? 美羽ちゃんのクラスに何人か下僕というか……まぁ、俺に従ってくれるような子がいるからかな」


「………………」



聞かなきゃ良かった。

はっきり下僕って言ったよ。この人。


ちょっとどころかドン引きしていると、先輩は、はははと軽く笑ったのだった。






話しをすることも無いと思っていたんだけれど、何故か私は矢田くんと2人きりになっていた。


圧のある視線で見下ろされていて、必死に視線を逸らしている所である。



昨日も先輩の家でベタベタと鬱陶しいくらいくっつかれて、ようやく眠ることが出来たのは深夜の2時前である。


眠い目を必死に開けて先輩に手を繋がれたまま登校したのはいい。


学年が違う為、階段下で離れた途端。

後ろから声を掛けられ、振り返った先に居たのが矢田くんだった。

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