第22話

なんて答えたらいいか分からない…。

分からないというよりも、何て答えるのが正解なのか。



「ははっ……。ほんと腹立つな」


「いっ!」



腕を強く掴まれて痛みに顔を歪める。

まるで握りつぶすかのような力の強さに、必死に逃れようと抵抗するが叶うはずもなく。

ただ、されるがまま痛みに耐えることしか出来ない。



「痛い、よ………大翔くん」


「だろうね。だって痛くしてるから」


「っ離して……」



絶対に痣になっていると思う。

案の定、握られている腕を見ると、赤紫色になっていた。

それなのに、まだ離してくれそうにない様子に涙が溢れ出す。



「あれ、泣いてるの?」



何でそんな嬉しそうな顔をしているの……?


この人、おかしいと思ってしまったのが顔に出ていたのかもしれない。


「っ、きゃあ!?」


ーードサッ

次の瞬間には、床に押し倒されていた。

背中に感じた痛みに声がでる。


ハッとして慌てて起き上がろうとしたけど、大翔くんに覆いかぶさられてしまう。


「や、大翔くんっ!?」


「うん。優香ってさぁ、何でそんなに俺を苛立たせるのかなぁ。こーんなにも優香のことを愛してあげてるのに、そんな顔するのって酷いよね」


「な、何を」


「今日だって俺から逃げ出そうとしているしさ、凄く傷ついたんだよね」


「っ!や、やめてっ」



セーラー服に手をかけられ、素肌に空気が触れる。


スカートの中に入り込んだ手に慌てて大翔くんの手を止めようとした。

だけど、私の両手を簡単にひとまとめにされ頭上へと固定されてしまった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る