第21話
「ど、どうしてここが分かったの…?」
私たちのクラスからはだいぶ離れているし、こんな空き教室にいるなんてすぐには思いつかないと思う。
疑問に思って問うが、直ぐに後悔した。
「はは、どうして、ね。優香のことを見たと教えてくれる奴らがいるからだよ」
「え……?」
「クラスの奴らだけじゃないんだよ、お前の行動を教えてくれるやつらは。だから、優香の行動は筒抜けってわけだ」
教室に一緒にいるクラスメートだけじゃなく、教室の外でも私のことを見ている生徒がいるってこと?
なに、それ。何でそんなことをされなきゃいけないの。
「や、やめてよっ。大翔くん、ちょっと…そんなのおかしいよ」
普通じゃ、ない。
なんで学校にいて、こんな監視みたいなのされなきゃいけないの…。
そんなの異常だよ。
「おかしい? 優香がおかしな行動しなければしてないんだけど。こうやって逃げ出したりとかね」
「…っ。逃げて、なんか…ただ、疲れちゃっただけで」
クラスメートからまるで監視されているかのように見られ、気軽に話せる友達もいなくなってしまった。
息がつまる空間。
変わらない現状に悲しくて。辛くて。
逃げ出したくなる…。
大翔くんの顔を見たくなくて俯く。
ふと、ふっと微かに笑う声が聞こえ訝しんだ。
なんで、笑うの……?
何もおかしくないのに。
「ほんと優香って分かりやすい。言葉では嘘をつくのに、残念だね。顔は嘘をつけない」
「……」
「ねぇ、これが罰ゲームだったらよかった、なんて考えた?」
「え…」
私の心象を読んだかのような確信を持った声音に驚いて掠れた声が漏れた。
はっと顔を上げると、感情の読めない顔をした大翔くんが私を真っ直ぐに見つめていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます