第9話

▫️


家につくと促されてソファーに腰をかける。

すると、手のひらを見せてきた。


この謎に思われる行為は、もう慣れてしまったもので。

バッグから求めているであろうものを探し、その手に乗せた。


満足そうに微笑んだかと思うと、隣に腰をかけてスマホのチェックが始まった。


無言で確認が始まり、私は手持無沙汰に雑誌を見た。


家に帰ると大翔がすることは私のスマホのチェックだ。


大翔に女友達とも連絡を取り合うことを制限されているため、大翔以外の人と連絡することはほぼといっていいほどない。


だからチェックする必要なんてないはずなのに。


何故か大翔は必ず確認をしないと気がすまないらしい。

一度なぜ見せなくてはいけないのかと拒否したこともあった。


浮気をしていると疑われて、散々な目にあったので素直にスマホを渡す。それで大翔の気が済むのならもういい。



大翔との連絡を取りあう以外はほとんど使っていないので、もう構わない。


ただ呆れるだけだ。

何でそこまでしなくてはいけないのかと。



「ねぇ、これどういうこと?」



スマホ画面を見せて、そう不機嫌そうに呟かれビクッとしてしまい雑誌を落としてしまった。


慌てて拾い、スマホ画面を見る。

どうやら大翔の機嫌を損ねたメール内容みたいだけど、文章を読んだ所で変なところは一切ない。



「どういうことって……莉奈からのメールだよ?」


「うん、そうだね。優香が一番仲がいいっていう、その子。優香には俺という彼氏がいるのにこんなの誘うってどういうこと?」


「え……」



そういえば連絡がきてたのに、大翔が突然来たことに驚いて読めてなかった。


よく見ると、今度の休みに買い物に付き合ってほしいと書かれていた。


中学の時はまだ自由があったから、大翔から許可さえあれば行けたんだよね……。

だけど大翔が嫌がるようになってから、あまり行けなくなってしまったっけ。

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