第27話
制服の内側のポケットに手を入れたと思ったら、写真が入るくらいの大きさのファイルを出した。
その行動の意味が分からず、ただ見守っていることしか出来ずにいると。
ファイルから、何枚か写真を取り出した。
そしてその写真をまるでトランプのように広げる。
「折角教えてあげようとしたのに、悪さするなんてさぁ……酷いよね。絢子は。」
「な、何。それ……」
「ん? 絢子を傷付けた奴は、制裁しておいたよ。これで安心した?」
「っ、え…………こ、これ!」
写真を見て思わず言葉を無くす。
そこに写っていたのは、矢口さんで。数人の男子生徒に囲まれていた。
押し倒されている写真や、制服を脱がされている写真にヒュッと息を飲む。
何で、こんなこと……!
「や、矢口さんに……な、何をしたの……!?」
「はは。分かってるクセに。どうやら彼女は男が好きなようだからね。望みを叶えてあげたんだ。」
「っ、ひ、酷い……何でそんなこと……」
出来るの?
彼女はただ尊くんが好きなだけだ。
「まぁ、こんな奴はとうでもいーんだけど。それよりも、絢子は何で逃げようとしたの? それに答えてよ。ね?」
「っ、あ……」
「絢子。ほら、答えて? 僕は口を塞いでいないだろう? ーー答えられないの?」
「やっ、ごめんなさ、」
「だから、謝罪なんて要らないよ。僕が求めているのは絢子の口から理由を聞かせてくれることだよ。」
早く答えないと、いけないのに。
恐怖で声が出ない。
矢口さんがあんな目に合ってしまったのは………私のせいだ。
彼女の為にも早く答えて、尊くんに止めてもらえるようにしてもらわないと。
早く、早くっ。
焦れば焦るほど声が出ないのがもどかしい。
「部屋にい、いるのが少し窮屈で、それで、その……外の空気を少しでも吸いたくて、」
「ーーへぇ?」
「っ!!」
尊くんが冷たい声を出したことに、ビクッと肩を跳ねらせる。
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