第17話
絢子は怯えた顔をして、必死に僕から距離を取ろうとした。
ベッドの上だから、どうしたって距離を置ける筈もないのに。
なんて馬鹿で可愛いんだろう。
自分でも今、歪んた笑みを浮かべてしまっているんだろうなぁと思うよ。
ヒッと引き攣った小さな悲鳴を上げる絢子が、ガタガタと身体を震わせた。
「ご、ごめんなさいごめんなさい……」
「ふふ。それはどういう意味の謝罪なのかなぁ?」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
意味を聞いてるのに、まるで僕が見えてないように何度も謝罪を繰り返す絢子にため息をついた。
謝罪するということは自分でも悪いことをしたっていう自覚があるからだろうけど、そんな薄っぺらい謝罪なんて求めていない。
「絢子」
「っ!!」
「何で僕から逃げよう、なんてしたのかな。僕がこんなにも愛してるのに。あぁ、もしかして愛情表現が足りなかった?」
ーー今日、絢子は僕から逃げようとした。
それも幼なじみだとかという男なんかと一緒に。
だから、相手の男は徹底的に潰して、絢子には罰を与えたのだけれども。
僕から逃げようとしたことも、ましてや僕以外の男と一緒に居るだなんて到底許せる筈がない。
でも、やっぱり絢子にはやっぱり甘くなってしまう。
だから、抱き潰しぐらいで許してあげようとしたんだけれどもその怯えた表情が苛立たせる。
「違う……ごめんなさい……じ、自由になりたかっただけなの!」
「へぇ。自由?」
「っ、私は普通に生活をしたい……なのに、尊くんは……」
だんだん声が小さくなり最後の方が聴こえないけれど、絢子が言いたいことは分かった。
つまりは僕に束縛されるのが嫌なんだろう。
ーーでも、仕方ないことだろう?
「絢子の全ては僕のものなんだから、絢子の行動全てが僕に従う必要があると思わない? 絢子は自由が欲しいというけれど、十分"自由"を与えていると思うけどね」
とっくに自由を奪うなら学校なんて行かせず、この部屋に閉じ込めているさ。
だけど、流石にそれは可哀想だと思ってせめて卒業するまでは我慢してあげようと思っていたんだけれどもね。
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