第57話

「まゆは自分を選んでくました、これで答えははっきり出ましたよね」


「借金はきっちり払います、まゆ行こう」


私は頷いた。


工藤さんは何も言わず、俯いていた。


私は祐志さんとドアの方へ歩き始めた。


「ちょっと待ってください」


私は工藤さんに駆け寄り、お礼を伝えた。


「工藤さん、優しくしてくれてありがとうございました」


私は工藤さんの顔を覗き込んだ。


そしてニッコリ微笑んだ。


工藤さんは私をじっと見つめた。


「こうなるんなら、無理矢理抱いておくんだったよ」


工藤さんは私の手を引き寄せ抱きしめた。


思いっきりギュッと抱きしめた。


そして、耳元で囁いた。


「まゆ、お前を愛してる、マジだ」


そして私を離して、祐志さんの方へ押しやった。


私と祐志さんはマンションへと向かった。


俺は、なぜ、止めなかったんだ。


絶対に手放したくなかったのに。


「まゆ、まゆ、まゆ」


俺は叫び続けた。

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