第51話

こいつの顔色が変わった。


「まゆは無事でしょうか」


「ああ、まゆの親父、深海健一郎の借金を返すため、俺の女になった」


「と言うことはあなたが借金を払ってくれて、代わりにまゆにあなたの女になれと脅迫したんですね」


「さすが先生はあたまの回転が早い、でも脅迫してないぜ、まゆが俺の女になると言ったんだ」


「そんなわけない」


「あんたに迷惑かけられないと、あんたの元を出てきたと言ってた、先生、あんたはフラれたんだよ、まゆに、だから、まゆのことは諦めてくれ」


「まゆは絶対にあなたから連れ戻す」


「借金はどうするんだ」


「自分が払います」


「マジかよ、まゆはもう、毎晩俺に抱かれてるんだぞ、そんな女を先生はこの先愛せるのか」


「はい」


「そうか、でも、俺の立場ってもんがあるんでな、また連絡するよ」


先生は急に頭を下げた。


「まゆに手荒な真似はしないでくれ、まゆは嫌な目に遭っている、これ以上まゆの意にそぐわないことがあると、精神的に壊れる恐れがある」


「分かった」


俺は病院を後にした。

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