第38話

私はしばらくすると、意識が戻った。


ロープで拘束されて、身動き取れない状態だった。


「やっとお目覚めかい」


私にそう声をかけたのは、絶対この人ヤクザだとわかる男性だった。


「深海まゆさんだな、手荒なことをして悪いな、あんたの親父さんの借金を返してもらいたい」


「父の借金?」


「ざっと一億円ってとこかな」


「一億円?」


「あんたの親父さん、深海健一郎は金を借りて返さないんだぜ、それはダメだろう」


お父様は私にお金を借りにきた。


私があてに出来ないとわかって、他の人に借りたんだろう。


返すあてなどないから、逃げてしまったんだ。


「親父さんの代わりに金を返してくんないかな」


「私はそんな大金持っていません」


「男いるだろう、男に払ってもらえよ」


「そんな人はいません」


「服部総合病院の外科医、服部祐志はお前の恋人だろう」


なんで、そんなことまで知ってるの?

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