第27話

「私が悪いんです」


俺は義兄が、思いが溢れてまゆを犯そうとしたんだろうと思った。


どこまでなのかはわからない、でもこの身体中のキスマークは奴がつけたんだろう。


まゆが迫っただと、あのたぬき親父め、自分の娘をどこまで傷つければ気が済むんだ。


深海の家を守りたいんだろう。


「まゆ、ごめんな、一人にして、さぞかし心細かっただろう」


「祐志さん」


俺はまゆを抱きしめた。


まゆはしばらくすると落ち着きを取り戻した。


「祐志さん、夜勤はどうされたのですか」


「同僚に交代してもらった」


まゆは申し訳ない表情を見せていた。


「すみません」


「大丈夫だよ」


「今度、夜勤の時はここに一人でいます」


「そうか、それなら一時間ごとに電話するよ」


「祐志さんったら、お仕事になりませんよ」


まゆはニッコリ笑った。


俺はこの笑顔を生涯守っていくと誓った。

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