第22話

「そうか、でも心配だな、まゆを一人にはさせられない」


「お兄様」


私は兄に溺愛されて育った。


いつでも側にいてくれた。


兄とは義理の関係だから、血の繋がりはない。


一年前、仕事で渡米して、久しぶりに日本に帰ってきたのだ。


兄は私の腕を引き寄せ、ギュッと抱きしめた。


「まゆ、俺はお前と離れて、初めて自分の気持ちに気づいた。、お前が心配で堪らない」


「お兄様」


私は兄に抱きしめられるのが好きだった。


いつもじっと見つめられて、おでこにキスされた。


この日の兄は私の唇にキスをしてきた。


私は咄嗟のことに受け入れてしまった。


唇が離れて、兄は信じられない言葉を私に投げかけた。


「まゆ、僕は一ヶ月後アメリカに戻る、僕と一緒に来ないか」


ずっと待ちに待っていた言葉のはずが、私は嬉しくなかった。


「一ヶ月で準備をすればいい、僕は深海の戸籍から抜ける、だから、僕と結婚しよう」


私は戸惑いを隠せなかった。

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