第ニ章 許嫁の存在
第9話
誰にも渡したくねえ、俺の独占欲に火がついた。
深海健一郎、親父から聞いていた人物の名前。
この日、親父は容態が急変して、俺は病室に駆けつけた。
「親父、頑張れ」
「祐志、お前に言っておかなければいけないことがある」
「なんだ、病院なら叔父さんに任せればいいだろ」
「そうではない、実はお前には許嫁がいる」
「はあ?許嫁?」
「深海健一郎の娘だ」
俺は驚きを隠せずにいた。
「俺と深海は親友だ、俺は深海の奥さんが好きだった、まゆこさんは大学時代男子生徒の憧れの存在だった、まゆこさんが選んだ相手は深海だった、深海のところに女の子が生まれた、まゆこさんそっくりの可愛らしい子だった、名前はまゆ、俺はまゆが可愛くて仕方なかった、
その六年後お前が生まれた、俺はまゆと祐志を結婚させるべく、深海に頼み込んだ、まゆはお前の許嫁だ、必ず、まゆを見つけ出して結婚してくれ」
おい、勘弁しろよ、今どき、許嫁って、なにを考えているんだ。
俺が二十七なんだから、まゆは三十三だろう。
もう他の男と結婚してるだろ。
それから三年の月日が流れた。
俺はすっかり忘れていた。
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