第8話

もう、三十六歳なんだから、いちいち親に言う必要はないと、自分に言い聞かせた。


朝、しっかり服部さんに抱き抱えられながら、目が覚めた。


「おはよう、まゆ、よく眠れたか」


「はい、おはようございます、服部さん、この腕を離してもらってもいいですか」


「祐志でいいよ、恋人同士なのに服部さんはおかしいだろ」


「あっ、そうですね、じゃあ、祐志さん」


私はニッコリ微笑んだ。


祐志さんは私を抱きしめて「まゆはかわいいな」そう言って、キスをした。


なんか、本当の恋人同士みたいとちょっと恥ずかしくなった。


昨日の抱擁が走馬灯のように蘇る。


顔が真っ赤になるのを感じた。


「どうした?顔が赤いぞ、さては昨夜のこと思い出していたのか」


「えっ、いえ、その」


まゆは不思議な女だ。


俺は今まで、真剣に結婚を考えたことがなかった。


性的欲求を満たす相手はいたが、結婚相手として見たことはなかった。


まゆとは生活を共にしてもいいと思った。


まゆとのセックスは大満足だ。

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