第7話

「私は深海まゆです、私の父は深海不動産社長です」


「深海まゆ?親父さんの名前は」


「深海健一郎です」


俺は服部祐志、服部総合病院の外科医である。


三年前に父親が他界して、病院院長は親父の弟である服部慎之介がやっている。


俺の親父は服部祐之介、本来俺が院長を継ぐべきだが、面倒なことは大の苦手だ。


その親父から深海健一郎のことを聞いていた。


一度会いたいと常々思っていた、そして娘にも……


まさか、一夜を共にした相手がその娘だったなんて、世の中は狭いもんだと感じた。


「服部さんはおいくつですか」


「俺は三十だ」


「年下?」


「まゆよりはしっかりしていると思うぞ」


「私ってそんなに頼りないですか」


「危なっかしくて、みてられない」


私は頬を膨らませて拗ねて見せた。


「まゆはかわいいな」


そしてその日は無断外泊した。

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