第39話

「廉?」


「凛、相変わらずの美貌だな」


びっくりし過ぎて、私の機能は全停止したように固まった。


「どうしてここに居るの?」


「それはこっちのセリフだよ、このマンションに住んでいるのか?」


「違う、違う」


「今の彼氏がこのマンションの住人か?」


私はどう答えていいのか困って俯いた。


「図星か」


「まだ、彼氏じゃないから・・・」


慌てて否定すると、廉はふふっと笑い「凛は変わってないな」と私の手を引き寄せた。

数センチの距離まで顔が近づき、急な事でドキッとした。


その時私は別の方向へ引き寄せられ、抱きしめられた。

その相手は颯だった。


「颯さん、どうしたんですか」


「ちょっと具合悪くて戻ってきた」


確かに彼の表情は血の気が引いていた。


「大丈夫ですか」


「大丈夫だ、それより・・・」


そう言って彼は廉を睨みつけた。


「人の女に手を出すとはいい度胸してるな」


廉は大きなため息をついた。


「人の女?凛はあんたを彼氏と認めていないみたいだが・・・」


私は彼の具合が気になり、二人の間に割って入った。


「颯さん、部屋に戻りましょう?顔色悪いですよ」


「廉、ごめんね」


私は彼とマンションに戻った。

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