第30話
「凛」
スマホは切れた。
凛が言っている彼の事は嘘だとすぐに分かった。
どうして俺と距離をおこうとするんだ、二度目のキスには手応えを感じたのに・・・
近づいたと思うと離れて行く、凛は何故俺の腕の中で大人しくしていないんだ。
どうしたら、俺を好きになってくれる?
こんなにもお前が愛おしいのに・・・
「うっ、薬」
俺は慌てて薬を飲んだ。
そう、俺は末期がんに侵されている。
気づいた時にはガンが相当進行していた。
一番の気がかりは俺の息子の祐だ。
俺がこの世から消えたら、祐は一人になる。
元妻には絶対に渡したくない。
そんな時、凛と巡り会った。
そして祐に合わせてみようと思った。
祐を任せられる女はこいつしかいない、
祐が大好きになり、俺が認めた女が凛だった。
しかし俺が口説いて陥落しない女は初めてだ。
しかもまさか俺がこんなにもマジになるなんて、誰が想像しただろうか。
祐があんなにも凛に懐くなんて、祐には俺がいなくなったのちに凛を守って貰わなくちゃいけないから、凛を大好きになる気持ちがどの程度か観察していた。
予想以上の凛に対しての気持ちに、はっきり言って驚いている。
ところが肝心の凛の気持ちが俺に向いていない。
これは完全に計算ミスだ。
まさか、マジで男がいるのか?
良からぬ想像が俺の頭を支配する。
こんな俺が凛を口説いて、幸せに出来ない事はわかっている、だが他の男に渡したくない気持ちが想像以上に膨れ上がっていた。
もうこの気持ちを止める事は出来ない。
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