第19話

「今日は凛と二人で時間を過ごしたい、たまにはわがまま言っても許してくれるよ、祐は・・・だから二人で食事行こう」


なんで私に?戸惑ってどうしていいかわからず、彼に聞いてみた。


「なんでそんな大事な事を私に話してくれたんですか?」


彼は私を引き寄せて、じっと見つめた。


「前にも言ったけど、俺は凛と結婚したいんだ、だから、祐の事は話しておかないとって思ったんだ」


そして私を抱きしめた。

私は思わず、彼から離れて後ずさりしていた。


「無理です」


「即答?俺もうふられたの?」


「祐くんは大好きですけど・・・」


「俺は嫌い?」


私は慌てて否定した。


「そうじゃなくて、大和さんの奥さんは私には務まりません」


「なんで?」


なんでって、そんな事、私が大和さんと釣り合う訳ないし、それに結婚って、まだ付き合ってもいないのに、なんで急に結婚になるかなあ、それに私はもう四十歳で、大和さんといくつ離れていると思ってるの?

言葉に出来ない気持ちを心の中で彼にぶつけた。


「凛、俺の奥さんになるってそんなに難しくないだろ?」


私はぽかんとして、固まった。私にとっては最高の難易度なんですけど・・・


「私にとっては凄く難しいです」


彼は理解不能の表情を見せた。


「俺の事好きになってくれればいいんだけど・・・」


えっ?それだけじゃないでしょ?大和さん、あなたはイケメンカリスマ美容師で、あなたを狙っている女性は数知れず、しかもあんな接客されてあなたを好きにならない人なんていないでしょ?

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