第三章 心を奪われた

第15話

月曜日彼から電話があった。


「凛、遅くにごめん、明日店に来てくれるかな、カラーやってあげるから」


「わかりました、何時に行けばいいですか」


「二時ごろどう?」


「大丈夫です」


「終わったらメシ食おうよ、何食べたいか考えといて」


えっ、断らないと駄目だよ、凛。


「あのう、ちょっと予定が」


「そうなんだ、何時に店出ればいいのかな」


「六時に待ち合わせしてるので・・・」


あ~うそ言っちゃった、約束なんてないのに、でも断る理由は一番いいかも・・・


「待ち合わせの相手は男性?」


「えっ、そ、そうです」


「彼?」


「そうです」


彼は黙ったまま、何も言わなかった。


「カラー、別の日にしましょうか」


「いや、ちゃんと約束の時間までに仕上げるよ、凛に俺が会いたいんだ」


心臓の鼓動がドクンと音を立てた、俺が会いたいんだなんてどう言うつもり?


「わかりました、じゃあ、二時で大丈夫ですか」


「あ〜っ、大丈夫」


「それでは明日、おやすみなさい」


「おやすみ」


あ〜嘘言っちゃった、彼なんて何年前の話?どうしよう。

とりあえずカラーやって貰ったらすぐ帰ろう。

私に会いたいなんて大和さんの考えは理解出来ないよ。

私みたいなおばさん相手にして、何が楽しいの?

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