第11話

一日遊んで疲れたのか、帰りの車の中では、祐くんはすっかり寝てしまった。

彼はバックミラー越しに私に話しかけて来た。


「凛、今日はサンキューな、久しぶりに祐を遊びに連れて行く事が出来た」


「私も楽しかったので大丈夫です」


「あのさあ、さっきの俺は本気だから」


「さっきの?」


「俺、凛と結婚したいって言っただろ」


えっ?うそ、何言ってるかな。

私は真っ赤になるのを感じて俯いた。


「やっぱり凛は可愛いな」


そして、彼は私をアパートに送ってくれた。

車から降りると、私を抱き寄せた。

心臓の鼓動が早くなるのを感じた。


「凛、今度は二人で会ってくれ」


そして彼は顔を近づけて来た。

私は咄嗟に顔を背けた。

彼はちょっと戸惑った様子で私から離れた。


「俺ばかり先走りすぎた」


私は気まづい思いでどうして良いかわからなかった。


「今日の分、カラーする?」


「あっ、そうですね」


「じゃ、また」


「はい」


そして彼は車を走らせ、明かりが灯る街中へ消えていった。

彼は私と結婚なんて、何を考えているんだろうと不思議だった。

それに祐くんの事はすごく気になる、母親似って考えれば決して不思議では無いが、彼のDNAを受け継いでるとはどうしても思えない。


結婚も指名客獲得の手段かもしれないし・・・

カラーやって貰ったら終わりにしようと自分に言い聞かせた。

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